研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
15H01445
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305525)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳内出血 / リハビリテーション / CIMT / 皮質赤核路 / ウイルス二重感染法 / 選択遮断 |
研究実績の概要 |
脳血管障害後の有効なリハビリテーション法に、麻痺側上肢を集中的に使用させるCIMT療法がある。CIMT法による早期からの上肢運動機能の改善が、皮質赤核路の促通性亢進による直接的な作用なのか、それとも他の神経回路を介する間接的な作用によるのかを明らかにすること目指した。H27年度は、1)脳出血後早期のCIMT実施中に皮質赤核路を選択的に遮断させることを可能とすること(伊佐研からウイルス二重感染法の技術移転)、2)出血後早期の皮質赤核路選択的遮断によるCIMT効果の検証、3)オプトゲネティクス法を用いた実験のための準備、を具体的目的とした。 その結果、1)伊佐研からのウイルス二重感染法の技術移転が順調に進み、出血後早期からの皮質赤核路の選択遮断が可能になった。2)脳出血後のCIMT実施中にドキシサイクリン(DOX)を経口投与し皮質赤核路を選択遮断した場合にも、CIMTによる上肢運動機能の改善を確認した。3)光量の強いオプトゲネティクス法を用いた実験設備を整え、チャネルロドプシンを有するウイルスベクターも確保した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レンチウイルス(NeuRet-TRE-EGFP.eTeNT)およびアデノ随伴ウイルス(AAv1-CAMKII-rtTAV16)を用いた実験に必要な学内書類申請を行い、名古屋市立大での実施が可能になった。また、必要な実験器具およびテクニックも修得した。すなわち、伊佐研からの技術移転が順調に進んだ。 脳出血モデル作成の50日前からウイルス二重感染を行い、大きな細胞毒性がないことを確認した。その後、出血前および直後からDOXを経口投与しCIMT実施中の皮質赤核路を選択遮断し、CIMT実施(脳内出血1日後から7日後まで)後の上肢運動機能の評価も順調に進んでいる。 オプトジェネティクス法の実験設備を用いた予備実験を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
脳出血後のCIMT実施中に皮質赤核路を選択遮断した場合にも、CIMTによる上肢運動機能の改善が確認されている。出血13週後の皮質赤核路の選択遮断がCIMT効果を抑制するという結果と異なるため、以下の実験を進める必要がある。 1)出血後の選択遮断時期を可変させ、CIMTによる皮質赤核路の可塑的変化の臨界期をけんとうしていく。2)CIMT実施後早期の上肢機能回復のメカニズムについて、他神経路の可能性を検する。3)臨界期が明らかになった後、皮質赤核路での可塑的変化のに関与する因子を網羅的に検討する。
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備考 |
本支援による研究結果(J. Neurosci)は、平成28年1月14日発行の朝日新聞朝刊の第一面をはじめ、読売新聞朝刊、中日新聞朝刊、毎日新聞夕刊など全国の各新聞紙上で大きく取り上げられた。その他、yahooニュース、科学新聞(1月29日発行)、女性なごや、中部経済新聞などにも報道された。
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