研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
15H01450
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 神経再生 / 神経回路再編 / 脊髄損傷 / コンドロイチン硫酸 / 脳損傷 |
研究実績の概要 |
中枢神経系の発生・回路形成、および神経の成熟過程、さらには脊髄損傷をはじめとする中枢神経系機能回復に向けては、細胞外基質の一つコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSーPG)をはじめとするグリコサミノグリカンが多方面から機能しており、重要なターゲットである。我々はこのコンドロイチン硫酸(CS)の発現を低下させるノックアウトマウス(CS合成転移酵素CSgalnacT1/T2のKOマウス)を作成し、解析を進めてきた。とくにCS合成転移酵素CSgalnacT1/T2のKOマウスは、その脊髄損傷モデル実験からは損傷後の劇的な回復を見せることを明らかにするとともに、ほかのグリコサミノグリカン発現にも影響を与える相互作用システムがあることが明らかになった。 本研究では、さらに治療に踏み込んで神経再生医療に向けたCS発現制御への方法論の展開と、発生過程におけるこれら遺伝子制御による回路形成や脳機能へのかかわりを解析し推進した。 とくにペリニューロナルネット(PNN)と呼ばれる構造がCSを中心に機能しているが、このPNNが脊髄損傷時の神経再生過程において回路の再編に関わっていることも明らかになった。この機能詳細についても一端を明らかにすることもできた。さまざまな因子と機能相関を持ちながらPNNのような構造体を、CS発現制御によって変化させることによっても神経再生やその回路の再生あるいは神経発芽などの回路シフトを解析できるようになった。 脳梗塞および脊髄損傷において、細胞外マトリックスとくに神経糖鎖が以下に関わるかを明らかにする。さまざまな手法を考慮するなかで、脳梗塞や脊髄損傷時にウイルスベクター発現系を駆使することで正しく神経再生過程をトレースする技術も構築を進めており、トータルとして神経再生における回路編成の戦略をとらえる体制を整えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経再生に関わる細胞外基質環境を制御するために、遺伝子導入系やさまざまなウイルス発現系を試みている。過程で遺伝子発現抑制に向いたシステムを構築することができ、かつ神経回路編成および神経回路シフトの形態学的な解析を可能としつつある。研究後半に向けて技術的には大きな進展をみた。また、脊髄損傷に関わる神経回路編成とシフトについては、細胞外因子の同定を進めることができ、これも次につながる展開を推進している。
|
今後の研究の推進方策 |
ウイルス遺伝子導入系が順調に推移するなかで、本方法を中心に研究を遂行する。また、細胞外基質として我々が標的としているコンドロイチン硫酸がPNN(ペリニューロナルネット)という構造体を形成し、神経可塑性を含む様々な機能に関わることが明らかになりつつある。特に神経再生においてもこの構造体との相関は重要であり、今後の研究において積極的に解析を進めてゆくこととしている
|