公募研究
(背景)加齢は、重要な白血病発症の危険因子である。加齢に伴うDNAメチル化修飾の変化が、造血幹細胞の「前がん細胞化」に関わるかは明らかでない。(目的)DNAのメチル化シトシン(5mC)をヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)に変換する酵素(TET1、TET2、TET3)の機能不全による5mCから5hmCへの変換障害と、造血幹細胞の「前がん細胞化」との関連を解明する。(方法)Tet2およびTet3を、ヘテロまたはホモに造血幹細胞で欠失するマウスを作製し、造血幹細胞の前がん細胞化を検討した。(結果)(1) それぞれ単独遺伝子のホモ欠失マウスは、欠失から1年を経過しても白血病発症を発症しなかった。(2) いずれか一方をホモ欠失、他方をヘテロ欠失したマウスは、欠失から6ヶ月を経て死亡し始めた。それに先立ち、著しい白血球増多と貧血が認められた。増殖している細胞の形態からは、骨髄増殖性腫瘍ないし急性骨髄性白血病と考えられた。(3) 両遺伝子をホモに欠失したマウスは、欠失から約1ヶ月を経て急性骨髄性白血病様の病態を呈し、2ヶ月以内に約80%のマウスが死亡した。これらのマウスの骨髄細胞は、同系マウスに移植可能であり、レシピエントマウスは早期に白血病を発症して死亡した。(4) 野生型、Tet2単独ホモ欠失、Tet3単独ホモ欠失、Tet2/Tet3両アレルホモ欠失マウスから、遺伝子欠失後4-6週の時点で骨髄からLSK分画およびGMP分画を分取し、mRNA発現をRNAシークエンスによって比較した。また、DNAメチル化の違いを検討した。その結果、ダブルホモ欠失マウスGMPでは、炎症性遺伝子発現が上昇していることが明らかになった。メチル化解析では、主にエンハンサー領域でメチル化が異なっていた。両アレルホモ欠失マウスのGMPでは著しくメチル化が亢進していた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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