公募研究
内蔵脂肪組織肥満は、遠隔臓器の機能や全身代謝に多大な影響を与え、生活習慣病集積の基盤となる。肥満では内臓脂肪組織において慢性炎症が惹起され、全身的な代謝異常や慢性炎症の波及・拡大をもたらすことが明らかとなっている。しかしながら、なぜ脂肪組織で炎症が惹起されるのか、また、加齢により炎症が慢性化しやすくなる機序はよく分かっていない。我々は新規に同定した細胞群(APDP細胞)が、脂肪組織炎症プロセスの引き金を引くことを見いだした。そこで、APDP細胞機能の制御における細胞老化、加齢に伴う脂肪幹・前駆細胞及びAPDP細胞の機能変調、脂肪細胞分化ニッチの変化を解析し、加齢による脂肪間質での細胞間相互作用の変容が脂肪組織炎症を遷延化する分子機序を明らかにすることを目的として研究を行った。加齢による脂肪前駆細胞、APDP細胞の変化を解析し、トランスクリプトームとエピゲノムの変化を見いだした。また、加齢マウスにおいては内臓脂肪組織において炎症シグナルが活性化していることを見いだした。この炎症活性化の機序の解明のため、若年マウスと高齢マウスから採取した脂肪前駆細胞、APDP細胞について、RNA-seqならびにATAC-seqによる解析を行った。その結果、加齢により広範なエピゲノムとトランスクリプトームの変動が生じることを見いだした。また、オープンクロマチン領域の変化を解析した結果、PU.1やAP-1のモチーフが加齢に伴う変化と関連していることを見いだした。RNA-seq結果のPCGSE解析では酸化的リン酸化やMyc標的遺伝子、DNA修復のGOが有意に加齢と関連していた。これらの解析結果から、加齢に伴う脂肪前駆細胞やAPDP細胞の変化は、代謝やDNA損傷と関連していることが強く示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 備考 (1件)
Nature Medicine
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/nm.4326
eLife
巻: - ページ: 10.7554
10.7554/eLife.17462
http://plaza.umin.ac.jp/~manabe/