公募研究
1,Unstructured 領域結合分子シャペロンによるプロテアソームの新生鎖分解の阻害大腸菌Hsp70であるDnaKにより認識される配列をUnstructured領域に含むモデル基質を構築し、このモデル基質のプロテアソームによる分解に対するDnaKの影響を調べた。in vitroの精製タンパク質を用いた実験系では、10 microM以上のDnaKが存在するときにモデルタンパク質の分解効率が低下することが明らかとなった。しかしながら培養細胞中では、同じモデルタンパク質のプロテアソームによる分解は、DnaKを過剰発現させても抑制されることが無かった。おそらく細胞内濃度でのDnaKの濃度は十分でなく、ほとんどの基質はDnaKに保護されることなく、プロテアソームにより分解されていると考えられる。2,プロテアソームによる蛋白質分解を制御する「人工シャペロン」の開発蛋白質の分解はUnstructured領域に結合する「人工シャペロン」によって阻害されるかどうかを調べた。Unstructured領域への分子の結合や修飾(修飾化合物、リガンド、抗体)により、Unstructured領域の性質が変わり、分解効率も変わるのではないかと考え、モデル蛋白質の分解に対する影響を調べたところ、in vitro系だけでなく培養細胞内においても、小分子の結合により分解が制御出来ることを明らかにした (Takahashi et al. (2015) ACS Chem. Biol.)。
2: おおむね順調に進展している
1,Unstructured 領域結合分子シャペロンによるプロテアソームの新生鎖分解の阻害DnaKによるモデルタンパク質の分解制御がin vitro系で示されたが、細胞内部での分解制御は確認できておらず、やや当初の予定より遅れている。現在Unstructured領域と強固に結合できる分子シャペロンを探しており、見つけ出した分子シャペロンにより細胞内での分解制御が可能となるか調べる予定である。2,プロテアソームによる蛋白質分解を制御する「人工シャペロン」の開発in vitroだけでなく培養細胞においても「人工シャペロン」がタンパク質の分解の抑制を行うことを確認しており、おおむね順調に進展している。本年度は細胞内で任意の病因蛋白質の分解制御を行うシステムを構築する。
1,Unstructured 領域結合分子シャペロンによるプロテアソームの新生鎖分解の阻害Unstructured領域と強固に結合できる分子シャペロンを探しだし、この分子シャペロンにより細胞内での分解制御が可能となるか調べる予定である。しかしながら分子シャペロンは一般的にダイナミックに基質結合と解離を繰り返すという特性をもつ。そのため分子シャペロンの分解制御への寄与は限定的であるかもしれない。そこで分子シャペロンの特性を念頭に、分解制御に必要な「人工シャペロン」のUnstructured領域への結合特性(kon, koff, KD)も調べる予定である。2,プロテアソームによる蛋白質分解を制御する「人工シャペロン」の開発細胞内で任意の病因蛋白質の分解制御を行うシステムを構築する。そのためにUnstructured領域に特異的な抗体を用いる予定である。通常の抗体は巨大で細胞内の使用には適していないが、比較的小型である一本鎖抗体(scFvやnanobody)は細胞内での使用に耐えると期待される。まずは既に報告されている一本鎖抗体を用いて、細胞内での分解抑制が可能か調べる。その後、癌において活性化するNF-κBを抑制する cyclin-dependent kinase inhibitorやIκBの分解を抑制する一本鎖抗体を開発する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://inobelab.wordpress.com