公募研究
新規合成タンパク質の多くは、翻訳後すぐに分解される。さらに、ポリソームの多くは小胞体に結合していることを併せ考えると、小胞体に結合したリボソーム上での新生鎖分解システムを明らかにすることは、真核生物の新生鎖品質管理機構の中心を明らかにすることに繋がる。細胞は、ストレス時に更なる小胞体負荷を避けるシステムとして、本来小胞体に挿入されるべきシグナル配列(SS)を持つ小胞体タンパク質を細胞質内で翻訳し直接分解する(Endoplasmic reticulum stress-induced pre-emptive quality control:ERpQC)。しかし、そのメカニズムは全く不明であった。本研究期間において、小胞体結合リボソームでの新生鎖品質管理機構(ERpQC)の分子メカニズムならびに生理的意義を明らかにすることが出来た。具体的には、ERpQCに関わるメカニズムとして、分泌タンパク質などの小胞体内腔への輸送がストレス時に阻害される分子機構と、その結果、細胞質において翻訳された分子が、AAA ATPaseであるp97とコシャペロンであるBag6を介してユビキチンプロテアソームシステムによって分解されることを明らかにした。また、ERpQCに重要な役割を担う分子Derlin-1の中枢神経系における欠失は、運動機能障害を引き起こすことを見出しており、ERpQCによる小胞体ホメオスタシス維持が中枢神経系において重要な役割を担うことを明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chromosome Res.
巻: 24 ページ: 161-173
10.1007/s10577-015-9510-8
Hum. Mol. Genet.
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http://www.miyazaki-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/11/20151104.pdf