研究領域 | 新生鎖の生物学 |
研究課題/領域番号 |
15H01549
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鵜澤 尊規 国立研究開発法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 専任研究員 (60554376)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 西洋わさびペルオキシターゼ / 封入体 |
研究実績の概要 |
本申請研究は大腸菌の封入体に蓄積するタンパク質に注目し、このようなタンパク質のリボソーム上での折り畳みを調べることで、新生鎖の構造形成に何が決定的な役割を果たしているのを知ることを目的として研究を進めた。具体的には、西洋わさびペルオキシターゼの西洋ワサビ中の核酸供与体のコドンの使用頻度と大腸菌内のコドンの使用頻度が異なるために、翻訳の速度が変化し正しく折り畳むことができなくなるのではないかと考え、西洋ワサビ中のコドン使用頻度に合せたコドンの改変を行った。この配列を使って無細胞翻訳系で西洋ワサビペルオキシターゼの翻訳を行った。合成された西洋ワサビペルオキシターゼの活性は非常に低く、ほとんどが不溶性となった。並行して、レアコドンによる翻訳の遅延が実際にリボソーム上での構造形成に影響を及ぼしているのかを直接観察することを目指して、天然のアミノ酸と同様に蛍光性アミノ酸をリボソームによる翻訳によってタンパク質に導入する手法の開発を進めた。具体的には、蛍光性アミノ酸をtRNAに修飾できる新規アミノアシルtRNA合成酵素の変異体の作成を試みており、大腸菌内における蛍光性アミノ酸の取り込みを示唆するデータは得られている。しかしながら、この変異体を強制発現すると不溶性に蓄積するために単離精製が難しいという状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来大腸菌内で可溶性で発現するタンパク質が、大腸菌の無細胞翻訳系で合成すると不溶性となることが明らかとなった。この結果は、本研究で解明を目指している翻訳速度だけではなく転写速度も非常に重要であることを示唆しており、方法論の再構築が必要となったため「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
進化分子工学的を使って、大腸菌の無細胞翻訳系で合成できる西洋ワサビペルオキシターゼの遺伝子配列を調べる。具体的には、西洋ワサビペルオキシターゼのmRNAの一部にランダムミューテーションを入れてライブラリー化し、リポソーム ディスプレイ法等と蛍光性の基質を使うことで、正しく折り畳み機能するペルオキシターゼをコードするmRNA配列を選出する。並行して、レアコドンによる翻訳の遅延が実際にリボソーム上での構造形成に影響を及ぼしているのかを直接観察するために、タンパク質に導入する蛍光色素を開発する。
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