研究領域 | 脳タンパク質老化と認知症制御 |
研究課題/領域番号 |
15H01555
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80336180)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | βアミロイド / タウ / SPECT / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
近年、アルツハイマー病(AD)の病理像のひとつである神経原線維変化を標的とした生体イメージングが注目されている。本研究では、PETに比べて汎用性に優れたSPECTに対応可能なタウSPECTトレーサーの開発を目的として、ベンゾイミダゾピリジン(BIP)を母核に選択して、種々の置換基を導入した、新規放射性ヨウ素標識BIP誘導体を設計・合成し、タウSPECTトレーサーとしての有用性を評価した。AD患者脳組織切片を用いたインビトロオートラジオグラフィの結果、125I-BIP誘導体由来の放射能は、健常者脳切片に比べて、AD患者脳切片に高い集積性を示し、その放射能集積は抗タウ抗体を用いた免疫染色陽性部位と一致した。さらに、正常マウスを用いた体内放射能分布実験において、125I-BIP誘導体はマウスに投与早期での脳への高い移行性およびその後の速やかなクリアランスを示した。これらの結果より、新規123/125I-BIP誘導体がタウSPECTトレーサーとして有用であることが示された。本検討結果はまた、BIPを母核とする置換基の最適化を行うことによって、臨床応用可能なSPECT用タウトレーサー開発の可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
βアミロイドおよびタウイメージングプローブの開発には、それぞれに選択的な結合性を示す化合物の探索が必要である。今年度、βアミロイドに比べ、タウに選択的に結合する、数種類のベンゾイミダゾピリジン誘導体を見出したことから、本研究課題はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
SPECT用タウイメージングプローブの開発には、タウへの選択的結合性と脳移行性が必要である。これらの必須条件を満たすプローブの開発を目的として、これまで独自に見出したヨウ化ベンゾイミダゾピリジン誘導体の構造最適化を行っていく予定である。
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