研究領域 | 脳タンパク質老化と認知症制御 |
研究課題/領域番号 |
15H01560
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂口 末廣 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (60274635)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プリオン / プリオン病 / プリオン蛋白質 / ソーチリン / 小胞輸送 |
研究実績の概要 |
プリオンは、正常プリオン蛋白質が異常プリオン蛋白質に構造変換することにより、増殖する。しかし、その増殖に関与する細胞メカニズムは不明である。我々は、今回、プリオンが感染すると蛋白質運搬分子の一つであるSortilinが著明に低下すること、またSortilinの発現低下で異常プリオン蛋白質の産生が増強し、逆にSortilinの発現上昇で異常プリオン蛋白質の産生が抑制されることを見出した。これらの結果は、Sortilinによる蛋白質運搬がプリオンの増殖に関与することを示した。また我々は、Sortilinが正常プリオン蛋白質及び異常プリオン蛋白質をリソソームへ運搬し分解を促進すること、Sortilinが正常プリオン蛋白質の細胞内局在をプリオン産生領域から非産生領域に変化せることも明らかにした。以上の結果は、プリオンはSortilinの低下を起こし、それにより異常プリオン蛋白質の分解を低下させ異常プリオン蛋白質の蓄積を促進すること、またSortilinの低下により正常プリオン蛋白質の分解も低下させ、より多くの正常プリオン蛋白質をプリオン産生領域に蓄積させ、異常プリオン蛋白質の産生を上昇させることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には、Sortilinと異常プリオンの結合についてさらに詳細に解析するとともに、Sortilinのノックダウンによる異常プリオンの増加が、異常プリオンのde novo産生の増加によるのか、または異常プリオンの分解抑制によるものか明らかにすること、またSortilinノックアウトマウスへのプリオン感染を開始することを目標としていた。 我々は、Sortilinが正常プリオンのみでなく異常プリオンにも結合することを明らかにし、またSortilinのノックダウンによる異常プリオンの増加は異常プリオンの分解抑制によることも明らかにした。さらに、ortilinノックアウトマウスへのプリオン感染を開始した。 以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、27年度に判明したSortilinのノックダウンによる異常プリオンの増加が異常プリオンの分解抑制による、そのそのメカニズムを明らかにする。また、Sortilinのノックダウンによりどのような細胞内輸送が障害されるのかさらに解析する。さらに、プリオン感染Sortilinノックアウトマウスの解析を行なう。
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