公募研究
優性遺伝性パーキンソン病(PD)の原因分子であるLRRK2に変異をもつPD患者は、孤発性PDと類似した臨床症状を示すことに加え、認知症の併発が一部で報告されている。本研究では、LRRK2遺伝子に変異を有する優性遺伝性PD家系内のPD患者から樹立したiPS細胞を用いて、リン酸化タウについて解析を行った。その結果、PD患者のiPS細胞由来神経細胞群では、健常者のiPS細胞由来神経細胞群に比べ、リン酸化タウが増加していた。さらに、タウのリン酸化亢進は、細胞内のAKT/GSK-3βシグナル伝達経路の異常に起因していることが明らかになった。また、iPS細胞を樹立したうちの1名の患者の死後脳を調べたところ、GSK-3β活性化によるリン酸化タウの増加、そしてそれが脳内に沈着して引き起こされる神経原線維変化を確認した。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、研究計画Ⅰ)パーキンソン病患者由来iPS細胞を用いたリン酸化Tauに関する解析を進め、得られた研究成果を学術雑誌に発表した為。
今後、短期培養と長期培養のiPSC由来神経細胞における解析を進める必要がある。また、そのためのツールとしてゲノム編集技術で遺伝子修復したiPS細胞を樹立する必要がある。
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Journal of Neuroimmunology
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