研究領域 | 脳タンパク質老化と認知症制御 |
研究課題/領域番号 |
15H01572
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
濱田 耕造 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00311358)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カルシウム / 小胞体 / タンパク質 / イオンチャネル / 受容体 / オートファジー / 認知症 / 老化 |
研究実績の概要 |
認知症の発症過程でタウなどのタンパク質が神経細胞内でモノマーからオリゴマーそして繊維状構造へと構造変化することが知られている。しかし、この「タンパク質老化」と呼ばれる構造変化プロセスが細胞内でどのように制御されているのか完全には理解されていない。またタンパク質老化により生じたタンパク質構造体がどのような機序により細胞機能に影響し毒性や伝播機能を獲得するのかまだ十分には解明されていない。細胞内のカルシウム貯蔵庫である小胞体は分泌・膜タンパク質の品質管理・分解除去(ERAD)や小胞体ストレス、ミトコンドリアへのカルシウム供給(MAM)やオートファジー(自食作用)を制御する重要な細胞内小器官である。我々はこれまで「小胞体カルシウム」が小胞体ストレスとオートファジーを調節し神経変性を起こす新しい病態メカニズムについて研究を行ってきた。この研究により小胞体カルシウムチャネルのアロステリック変化がオートファジーの制御異常に関わることが示唆され、共著で総説に紹介された(Autophagy, 2016)。平成27年度はこれを更に発展させるため、「小胞体カルシウム」と「タンパク質老化」との連関を調べる実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンパク質老化と小胞体カルシウムとの機能的な相互作用を調べるため、タウタンパク質の発現プラスミドを構築した。ヒトタウタンパク質のスプライシングバリアントのうち3リピートタウと4リピートタウ、そしてアミノ末端部位の欠損フォームのタンパク質発現プラスミドを構築した。これらのアミノ末端にDsRed monomerを融合し培養細胞に発現させ、DsRed融合タウタンパク質が発現している細胞における細胞内カルシウムイオン濃度[Ca2+]iを測定した。また、細胞におけるタウタンパク質と小胞体タンパク質の分布を共焦点顕微鏡下で観察した。班会議ではこれらの予備的実験結果を報告しタウ蛋白質と小胞体カルシウムの相互作用の可能性について発表し今後の研究プランを討論した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞においてタウタンパク質と小胞体カルシウムチャネルが構造的に相互作用するかどうか調べるため、発現系を用いてタウタンパク質が細胞内で直接小胞体カルシウムチャネルに結合する可能性、或いは小胞体カルシウムチャネルの翻訳後修飾の状態を調節するか調べる。構築した様々なヒトタウタンパク質フラグメントのプラスミドを発現し、小胞体カルシウムチャネルと結合するのか免疫沈降などにより調べる。またチャネル蛋白質の修飾部位を精密質量分析機により分析し、小胞体カルシウムチャネルの翻訳後修飾に影響するのか調べる。
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