公募研究
本研究課題は平成27年4月からスタートさせたが、新学術領域研究「場との連携による脳細胞の動態制御機構」(H28-H32)が採択されたことにより、重複制限規定に伴い平成28年6月に終了することとなった。超早産児の虚血性脳障害による後遺症の頻度は減少しておらず、高い確率で高次脳機能障害が生じる。そこで本研究では、ヒト超早産児が生まれる時期に相当すると考えられる胎生後期にマウスを一過的に虚血にし、その後発生発達を継続させるモデルを確立して、脳の形態学的解析及び行動実験を行った。その結果、ヒト超早産児と同様に神経細胞の移動障害や移動後の配置及びオリエンテーション異常、認知機能障害などが生じることがわかった。そこでさらに神経細胞の配置異常が与える影響を調べた結果、本来とは異なる部位に配置された神経細胞の少なくとも一部は、その分化状態を変化させ、細胞形態や投射様式等が本来とは変わってしまうことを発見した。さらに、虚血モデルでは新奇物体認識試験、Y-迷路試験などの行動実験で異常がみられたことから前頭前野に特に注目し、胎生期の一過性脳虚血によって前頭前野で細胞移動に異常が生じた神経細胞の活動を薬理遺伝学的手法で人為的に活性化させて、行動異常がレスキューできるか検討を行っている。さらに、胎生期に一過的に虚血にしたマウスについて、脳のRNAを抽出してマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を行い、脳虚血群で大きく変化する分子群を同定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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