鳥類の構造色は、昆虫や魚類とは異なる微細構造で発色することが知られている。本研究は、このユニークな鳥類型の構造色の中でも、非虹色の構造色に着目した。その発色の源である羽毛内の微細構造について、色が異なる複数の鳥種を対象に色と羽毛構造の関係を調査し、構造色発色の基盤情報を充実させること、「色彩に影響する羽毛内の微細構造の変化」と「発色」の関連性の解明と、その応用がターゲットである。本研究は、生物と工学の学際的研究分野である「バイオミメティックス(生物規範工学)」の一分野である「構造色」研究を実施する。 2年計画の2年目である本年度は、1) 野外での野鳥からの羽毛サンプルの収集と、2) 各鳥種の構造色の分光測定といった色彩の測定、3) 特定種における羽毛内微細構造の解明、に重点を置き研究を進め、4)その他の活動も実施した。 1)のサンプリングについては、昨年同様に野外からの材料(羽毛)の採集に加えて、飼育鳥からの羽毛の採集を実施した。 2)多種の羽色を対象として、分光計測等の色彩の評価を実施した。 3)特定の種について構造色を発色する羽毛内部構造に関する生物学的分析を進め、その知見や成果について複数の学会発表と論文発表を行った。 4) 本研究の代表者は、次年度に本領域研究(生物規範工学)および国立科学博物館が主催者となって上野国立科学博物館にて開催されるバイオミメティクス研究の一般向けの展示企画展である「生き物に学び、くらしに活かす―博物館とバイオミメティクス」にて、鳥類部門の展示担当者として、同領域の複数のメンバーと連携し、本企画展および講演会を実施した。
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