公募研究
本研究では,1/30度の超高解像度・サブメソスケール許容および1/10度の高解像度・渦解像の海洋物理モデルとそれと結合した簡易生態系モデルの解析によって,サブメソスケールと海洋中規模渦とが有光層への栄養塩供給過程とそれが引き起こす生物生産にどのような役割を果たすのかを明らかにする.具体的には,1) サブメソスケール現象が広域の生物生産にどのような影響をもたらすのか?2)黒潮から切離した中規模渦が黒潮の南に低栄養・低生産領域にどのような影響をもたらすのか?の二つの問いに答える.最初の問いに対しては,サブメソスケール現象を数値モデルで表現することで,広域の生物生産が亜寒帯・亜熱帯ともに増加することが示された.栄養塩フラックス解析およびブルームタイミング解析によって,サブメソスケール現象が生物生産を強めるメカニズムは,亜熱帯域では栄養塩の鉛直輸送を強めて生物生産を増加させる一方,亜寒帯では浅い混合層が作られることによってブルームのタイミングが早まるためであることが判明した.また後者の問については,渦追跡と栄養塩の収支解析を組み合わせることで,黒潮続流の北の栄養塩に富んだ水が黒潮続流から切離して南に移動する冷水に補足された栄養塩輸送が,黒潮続流の南に拡がる貧栄養海域に重要な寄与を与えていることが明らかとなった.これらの結果はサブメソスケール現象およびメソスケール渦が,栄養塩の供給,ブルームタイミングそして生物生産において,重要な役割を果たしそれが場所によって異なることを意味している.また計画当初には予定していなかった成果として,海洋貧酸素化の全球解析を行い,過去半世紀において,北太平洋で特に大きく溶存酸素が減少していることが明らかになった.この成果はGeophysical Research Letters誌に受理された.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geophysical Research Letters
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/2017GL073613
Journal of Oceanography
巻: 72 ページ: 905-922
10.1007/s10872-016-0390-0
http://ocean.fs.a.u-tokyo.ac.jp/