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2015 年度 実績報告書

直感的デバイスを用いたコミュニケーション・システムの設計と理論

公募研究

研究領域認知的インタラクションデザイン学:意思疎通のモデル論的理解と人工物設計への応用
研究課題/領域番号 15H01612
研究機関東京大学

研究代表者

池上 高志  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10211715)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード直感的デバイス / 仮想空間実験 / 二人称心理学 / 内観報告 / 触覚 / 時系列解析 / 移送エントロピー / エージェンシー
研究実績の概要

今回のプロジェクト提案は、直感的なデバイス(温度計や風力計みたいに目盛りを読み取るのではなく、直接振動や熱さなどで感じるもの)を用いた認知実験のデータを整理し、2人称心理学の理論的構築を目指すものである。今年度は特にperceptual crossing experiment (PCE)実験[2人の被験者がお互いに指にセンサーをつけ、マウスを使って仮想空間で指を動かすという実験を行なう。仮想空間には、相手のアバター、影、他に静物が置かれ、そこに指をもっていくと触覚刺激が入る。そこで、どれが相手の人からのの入力かを推定する。相手がどれか時に一度だけ、”クリック”をすることができる。この、相手のことが分かる、という意味での「内観的な気づき(これをperceptual awareness scale(PAS)という)」が高まると、結果として正しく判定ができるという結果を前の実験は示唆している。そこで今回は、2人の被験者のマウスを動かす速度と、センサーに刺激の入る位置の時系列に対し、3つのやり方を使ってPASと運動の対応関係を明らかにした。
1)時系列相関関数。2人の時系列は強い相関を持ち、それはPASが強くなるほど強いことを示した。2) 移送エントロピーを用いると、クリックする(相手のことが解ったと判断した)前後5秒の実験で、受動的な受け答えから能動的な受け答えと転移することがわかった。3) Hawkes過程を用いて、PASが高いと刺激ー応答関係が構造化されることを示した。
この結果は人の知覚における内観的な気付きを初めて定量化し、これを用いて2人称心理学への道を拓く第一歩を与えたという点で高く評価される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験結果の解析は順調に進み、その結果、能動性と受動性の転移という、新しい解析的観点も得られた。これを日本物理学会(2,016年、仙台大会)で発表し、現在国際ジャーナル誌に投稿するところである。またエージェンシー(Agency)に関する考察を進め、それをALIFEの国際会議に投稿・受理されている。
当初の予定に記載したように他の班員との連携も進み、2016年2月には東京での研究会も行った。
一方で、当初予定予定していたTononiのΦ理論を用いた間主観性の実効的測定は、まだ終わっていない。

今後の研究の推進方策

直感的なデバイスは情動に作用する。信号がもたらす複雑さとPAS都の関係を、間主観性の情報論的な定量化から捕まえることが、H28のメインなテーマである。これまでのたとえばトノーニのΦの定義はコミュニケーションとは関係がなかった。本プロジェクトはそれを補完するものである。今年度の実験結果をもとに、2つの方向で新たな実験を組み立てていく。
1) C班の飯塚氏と協力して、このPCEを3人の実験システムに拡張し、どのように3人目の被験者が仮想空間内で知覚されるかを検証していく。
2) Agencyという観点から、Tononiの理論をベースに理論を拡張し、他者性をわれわれが知覚するメカニズムを情報論的に明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [国際共同研究] Centro de Ciencias de la Complejidad/Universidad Nacional Autonoma de Mxxico(Mexico)

    • 国名
      メキシコ
    • 外国機関名
      Centro de Ciencias de la Complejidad/Universidad Nacional Autonoma de Mxxico
  • [学会発表] 他者の存在感を生むダイナミクスの解析2016

    • 著者名/発表者名
      小島大樹, 岡瑞起, 飯塚博幸, 池上高志
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東北学院大学(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-03-22 – 2016-03-22
  • [学会発表] Emergence of Otherness2016

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ikegami
    • 学会等名
      the Origin of Individuality workshop
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)
    • 年月日
      2016-02-05 – 2016-02-05
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工生命化する社会とMAssive Data Flow2015

    • 著者名/発表者名
      池上高志
    • 学会等名
      記号創発システム研究会
    • 発表場所
      銀座歌舞伎座タワー(東京都中央区)
    • 年月日
      2015-11-23 – 2015-11-23
    • 招待講演
  • [学会発表] Natural and Artificial2015

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ikegami
    • 学会等名
      The Unruly Techniques Symposium
    • 発表場所
      メルボルン、オーストラリア
    • 年月日
      2015-08-13 – 2015-08-14
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 情報のエンタングルメントによる間主観性の定量化2015

    • 著者名/発表者名
      池上高志
    • 学会等名
      京都大学基礎物理学研究所研究会「複雑システムにおける創造的破壊現象の原理に迫る」
    • 発表場所
      コープイン京都(京都府京都市)
    • 年月日
      2015-08-06 – 2015-08-07
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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