研究領域 | 認知的インタラクションデザイン学:意思疎通のモデル論的理解と人工物設計への応用 |
研究課題/領域番号 |
15H01618
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 英之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30535084)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子ども・ロボットリズムインタラクション / お絵描き |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,リズムなどの原始的音楽性の中に子どもがどのようなイメージを見出すのかを,子どもとロボットのリズム的相互作用場面における心理実験により明らかにすることにある.平成27年度は,まず実験準備として子どもとドラミングインタラクションを行うロボットを開発,そのシステムの改良を心理実験を繰り返し行うことで実施してきた.具体的には約40名の3~5歳児に協力してもらい,機械的な外観のロボットとの交互太鼓叩き課題を実施,課題の前後で子どもにロボットのお絵描きをしてもらい,ロボットとのドラミング体験が子どものお絵描きに与える影響を評価した.結果として,特に3歳児において,ロボットにあたかも目があるかのような描画をドラミング経験後にする傾向があることが分かった.この結果から,ロボットに目をつけて描画するという子どもの行動は幼少の子どもがロボットのリズムの中に感じる何らかのアニマシーを反映しているのではないかと示唆された.その一方で,5歳児においては,ロボットとのドラミング経験の有無を問わず,ロボットを写実的に描く傾向があることが分かった.これは子どもの抑制機能の発達により,より現実に即した形で描画するようになったからではないかと考えられる.今後はどのようなロボットのリズムが子どものロボットに対するアニマシー感覚を向上させるのかを精査していきたい.さらに上記の結果に加えて,子どもがロボットを”生き物的な存在である”と考えることで,子どもの太鼓たたきのリズムがロボットのリズムに引き込まれやすいという予備的な結果も得られている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットシステムの開発,子どもを対象とした心理実験の実施,さらにそれらの予備的な成果の学会での発表と,予定通り順調に研究が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
代表者の所属が平成28年度からかわり,実験環境の再構築など必要であるが,ロボットを用いた実験システム自体は引き続き使用するため,今後も順調に研究を進められると考えている.平成28年度は,これまでの検討に加え,養育者のリズム特性をモデルパラメータとしてロボットに実装することで,どのように子どものロボットに対する態度が変わるのかを検討したい.
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