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2015 年度 実績報告書

蛋白質ダイナミクスのin-cell NMR解析

公募研究

研究領域動的構造生命科学を拓く新発想測定技術-タンパク質が動作する姿を活写する-
研究課題/領域番号 15H01636
研究機関京都大学

研究代表者

杤尾 豪人  京都大学, 理学研究科, 教授 (70336593)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードNMR / ジスルフィド結合
研究実績の概要

蛋白質中のジスルフィド(SS)結合の安定性(酸化還元電位)は、SS結合の溶媒露出度に加えてシステイン残基周囲の構造揺らぎに依存する。また、環境の還元電位やpHに依存するため、細胞内の状態によってダイナミックに変動する。一般に、細胞内の還元電位はグルタチオンの濃度で決まるとされるが、活性酸素種の影響も受ける。加えて、細胞内環境自体が蛋白質の構造や揺らぎに影響を及ぼすことから、細胞内におけるSS結合の状態は試験管内の知見から簡単には予測できない。本課題では、NMRを使ってこの細胞内SS結合の安定性を評価する方法の構築を目指した。モデルとして、Csk(C-terminal Src kinase)のSH2ドメインを用いた。CskはSH2ドメイン中にジスルフィド(SS)結合を有するが、これが還元的に切断されるとCskのキナーゼ活性が10倍ほど上昇する事が知られている。細胞質は還元的ではあるものの、グルタチオン濃度が0.5~10mM程度である。一方、Csk SH2のSSは、50 mM DTTという極めて強い還元条件下でも、半分程度しか還元されないため、細胞中でCsk SH2のSSは切断されずに残ると予想される。
本年度は、まず、大腸菌を用いた15N標識SH2の発現と精製を行った。引き続き、その細胞内導入条件の検討を行った。細胞へのタンパク質導入は電気穿孔法を用いることとし、その電気パルスの条件(パルス長、印加電圧、回数など)を変えて、導入されるタンパク質の量を評価した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

電気パルスの条件(パルス長、印加電圧、回数など)を変えて、導入されるタンパク質の量を評価したが、高感度にNMR測定を行うためには導入量が十分ではないため。

今後の研究の推進方策

引き続き電気パルスの条件を検討する。また、細胞の培養条件や株を変更することで、タンパク質の導入効率を向上させることを検討する。さらには、NMR測定に供する細胞の数を増やすことで良好なNMR信号を得ることを目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Selective Labeling of Proteins on Living Cell Membranes Using Fluorescent Nanodiamond Probes.2016

    • 著者名/発表者名
      Sotoma S, Iimura J, Igarashi R, Hirosawa KM, Ohnishi H, Mizukami S, Kikuchi K, Fujiwara TK, Shirakawa M, Tochio H.
    • 雑誌名

      Nanomaterials (Basel)

      巻: 6 ページ: 56

    • DOI

      10.3390/nano6040056

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Stability of disulfide bonds of proteins in the cytosolic space analyzed using NMR spectroscopy2015

    • 著者名/発表者名
      杤尾 豪人
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-05
    • 招待講演
  • [学会発表] Stability of disulfide bonds of proteins in the cytosolic space analyzed using NMR spectroscopy2015

    • 著者名/発表者名
      杤尾 豪人
    • 学会等名
      第53回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-15
    • 招待講演
  • [学会発表] Interactions and dynamics of proteins studied by mammalian in-cell NMR2015

    • 著者名/発表者名
      杤尾 豪人
    • 学会等名
      6th Asia-Pacific NMR syposium
    • 発表場所
      香港
    • 年月日
      2015-08-13 – 2015-08-15
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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