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2015 年度 実績報告書

タンパク質ポリマー形成による動的膜形態形成の直接可視化による解明

公募研究

研究領域動的構造生命科学を拓く新発想測定技術-タンパク質が動作する姿を活写する-
研究課題/領域番号 15H01641
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

末次 志郎  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70345031)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード生物物理学
研究実績の概要

試験管内のBARドメインタンパク質による脂質膜チューブ形成の開始と伸長過程の可視化
endophilinについては、安藤班と共同で、原子間力顕微鏡によりチューブ形成の可視化に成功した。しかし、チューブ形成は非常に短時間で生じることがわかった。この急速なチューブ形成のため、原子間力顕微鏡の走査速度では、脂質膜表面のタンパク質の粒子は観察できず、従って、チューブ形成の過程の可視化には成功していない。そこで、チューブ形成を緩やかに生じさせるために、脂質膜の組成を検討した。endophilinと様々な組成の再構成膜を反応させ、再構成膜の形態を負染色により電子顕微鏡で観察した。その結果、脂質膜の脂肪酸の飽和度や電荷を持ったホスファチジルセリンの含量によってチューブ形成能が変化することを見出した。
細胞内のBARドメインタンパク質による脂質膜チューブ形成の開始過程の可視化
BARドメインタンパク質を培養細胞において観察するために、GFP融合タンパク質の安定発現株の樹立を試み、またレトロウイルスによる安定発現を行った。次にGFPの一分子局在を解析するために、GFPに対する組み換え抗体(nanobody)を用いた。Nanobodyは分子量が通常の抗体よりも小さいために、浸透がよく、GFPの標識密度を上げることが可能であると考えられる。GFPに対するnanobodyをAlexa647で標識し、超解像観察を行った結果、分子局在を細胞内で検出することに成功した。その際近接距離は、タンパク質分子の大きさと近く、BARドメインタンパク質の膜上での整列が示唆された。BARドメインを直接ラベルする抗体については適切な抗体を見出せなかったため引き続き抗体を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

すでに目的としているBARドメインタンパク質の一定の可視化に成功しているため。

今後の研究の推進方策

ホスホイノシタイドの集積が、BARタンパク質のよる脂質膜チューブ形成のきっかけとなる可能性が考えられるので、ホスホイノシタイドを添加して作製したリポソームを用いて膜チューブ形成を観察する。ホスホイノシタイドの位置は、特異的に結合するPHドメインなどを用いて可視化することを検討する。また、超解像解析をさらに推し進め、細胞内における分子数に対する観察分子数を推定することで、多量体形成を結論づける。さらに、構造解析により同定したコンタクトサイトのアミノ酸残基に変異をいれ、変異体タンパク質を発現精製して、試験管内での脂質膜の形態形成における影響を調べる。また、細胞における膜構造形成における役割も、変異体を発現させることにより調べる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Higher-order assemblies of BAR domain proteins for shaping membranes.2016

    • 著者名/発表者名
      Suetsugu S.
    • 雑誌名

      Microscopy (Oxf)

      巻: 65 ページ: 201-210

    • DOI

      10.1093/jmicro/dfw002

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Yeast Ivy1p Is a Putative I-BAR-domain Protein with pH-sensitive Filament Forming Ability in vitro.2016

    • 著者名/発表者名
      Itoh Y, Kida K, Hanawa-Suetsugu K, Suetsugu S.
    • 雑誌名

      Cell Struct Funct.

      巻: 41 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1247/csf.15014.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Phosphorylation of PACSIN2 by protein kinase C triggers the removal of caveolae from the plasma membrane.2015

    • 著者名/発表者名
      Senju Y, Rosenbaum E, Shah C, Hamada-Nakahara S, Itoh Y, Yamamoto K, Hanawa-Suetsugu K, Daumke O, Suetsugu S.
    • 雑誌名

      J Cell Sci.

      巻: 128 ページ: 2766-2780

    • DOI

      10.1242/jcs.167775

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Possible regulation of caveolar endocytosis and flattening by phosphorylation of F-BAR domain protein PACSIN2/Syndapin II.2015

    • 著者名/発表者名
      Senju Y, Suetsugu S.
    • 雑誌名

      Bioarchitecture

      巻: 5 ページ: 70-77

    • DOI

      10.1080/19490992.2015.1128604.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] TRPV4イオンチャネルのアンキリンリピート ドメインとPI(4,5)P2の相互作用による新たな制御機構2015

    • 著者名/発表者名
      末次志郎, 高橋重成, 伊藤弓弦, 竹村和浩, 嶋田 睦, 北尾彰朗, 森 泰生
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 55 ページ: 262-265

    • DOI

      10.2142/biophys.55.262

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PACSIN2のリン酸化によるカベオラ細胞膜局在の負の制御2015

    • 著者名/発表者名
      千住 洋介、末次 志郎
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県、神戸市)
    • 年月日
      2015-12-04
  • [学会発表] BARタンパク質エンドフィリンの膜切断活性とがんにおける変異2015

    • 著者名/発表者名
      木田 和輝、北又 学、塙 京子、末次 志郎
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県、神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01
  • [学会発表] 新規結合タンパク質によるF-BARタンパク質CIP4の管状形成阻害2015

    • 著者名/発表者名
      福永 優也、塙 京子、末次 志郎
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県、神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01
  • [学会発表] IRSp53の上皮間葉転換における役割2015

    • 著者名/発表者名
      多羅尾 賢斗、塙 京子、末次 志郎
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県、神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01
  • [学会発表] The identificaiton of the ankyrin repeat domain as a novel lipid-binding module2015

    • 著者名/発表者名
      末次 志郎
    • 学会等名
      第53回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      金沢大学(石川県、金沢市)
    • 年月日
      2015-09-14
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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