公募研究
DNA複製・修復・組み換えは、種の遺伝的連続性を保証する最も重要な機構である。これまで、これらの機構に関与する数々のタンパク質の同定と構造解析がなされ、詳細な生化学的解析に基づいて反応機構のモデルが提唱されてきた。一方、実際これらのタンパク質が機能する多数のサブユニットからなる複合体の3次元構造やダイナミクスに迫ること困難なこともあり、様々なタンパク質分子の相互作用ダイナミクスについては不明な点が多く残されている。そのダイナミックなプロセスの理解には、直接タンパク質が機能している現場を可視化することが鍵となると考え、これまでDNA結合タンパク質1分子を直接イメージングしてきた。大腸菌のDNA修復機構で機能する非六量体型ヘリカーゼUvrDについては、単量体ではなく二量体あるいは三量体でDNAを巻き戻していることを明らかにしている。本研究では、このヘリカーゼがDNAを巻き戻す際に形成する過渡的な多量体の動的構造を蛍光1分子イメージングで解明することを目指している。平成28年度は、UvrDの多量体のタンパク質-タンパク質間相互作用の構造ダイナミクスとDNA巻き戻し活性の関係を探るために、UvrD間の1分子FRET観察を継続した。また、C末のアミノ酸を欠如させた変異体を発現・精製し、その間の1分子FRETも観察した。さらに、野生型のUvrDに存在する6つのシステイン残基をアラニンに置換した変異体を作製した。このシステインフリー変異体から任意の部位にシステイン残基をもつUvrDを作製することができる。また、UvrDの多量体構造の光検出磁気共鳴(ODMR)による解明に向けて、蛍光ダイヤモンドナノ粒子の表面修飾、ビオチン化UvrDの部位特異的蛍光標識、ビオチン-アビジン系を利用したUvrDの蛍光ダイヤモンドナノ粒子標識を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Analytical Sciences
巻: 32 ページ: 1353-1357
10.2116/analsci.32.1353