研究領域 | 脳内身体表現の変容機構の理解と制御 |
研究課題/領域番号 |
15H01665
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
細田 耕 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10252610)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 身体イメージ / 筋骨格ヒューマノイド / 脳型情報処理 |
研究実績の概要 |
(1)人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームの試作:身体像を学習するロボットシステムに使用する,人工筋によって駆動される筋骨格ロボットアームの改良を行った.特に,肩関節(肩甲骨)について,これまで試作してきたものに比較して,より生体の運動を忠実に模倣できる構造を考案し,ロボットによって実現した.人間との筋構造がより似通っているため,人間の表面筋電位の情報をそのまま利用して,ロボットを動かすことにより人間の動作を簡単に模倣することができる.その運動特性と,筋電位を用いた遠隔制御について実験を行い,その有効性を検証した.その論文は,生体模倣の分野でも著名なBioinspired Biomimetics誌に採択されている. (2)人工筋に取り付ける人工筋紡錘の開発:筋骨格ロボットの自己受容センサとして,各人工筋の状態を計測するための人工筋紡錘を開発した.人工筋紡錘は,人工筋の可動部に固定された磁石の磁力を,磁力センサによって計測することにより,人工筋のまったのでの膨張程度を計測し,その値と人工筋の長さとの相関を利用することによって,疑似的に人工筋の長さを計測することができる.この情報を利用し,生体の筋紡錘が有するダイナミクスを模擬して,器官が発生する信号をエミュレートできるような回路を作成した.その結果は,国際学会にて発表,高く評価され,論文誌への推薦を受けている. (3)使用するネットワークに関する検討:連携研究者,津田一郎教授(北海道大学)とともに,使用するネットワークについての検討を行った.その結果を踏まえ,連想記憶の能力を有するμモデルを用いたネットワークについて,簡単なシミュレーションを行った.また,津田教授の提案する自己組織化第二原理について検討し,身体像の学習への適応可能性について検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
身体イメージの構成論的研究のためには,その基となる自己受容センサをどのように用意するかが研究のキーとなる.本研究では,これまで検討されてきたロボットの中でも,もっとも人間のそれに近い自己受容センサを作ることができた.これを用いて実験した結果は,これまでのロボットでの構成論的研究に比較して,より人間に関する詳しい知見を得られると期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,脳型情報処理に関する検討を行う.自己組織化のみで身体イメージが構成できるかどうかという問題は,問題設定としてかなり難しいので,最初から複雑な筋骨格ロボットに適用するのではなく,ある程度のシミュレーションから研究を始めるのが確実であると,考えられる.
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