研究領域 | 新興国の政治と経済発展の相互作用パターンの解明 |
研究課題/領域番号 |
16H00741
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
牧野 百恵 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター南アジア研究グループ, 研究員 (50450531)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育政策 / 選挙 / 教員 / パキスタン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、パキスタンにおいて独自の教員・家計調査を実施し、政治家と教員がパトロン・クライアント関係にあり、それが選挙に影響を与えるために教育改革が進まないとの仮説を実証することである。この目的を達成するため、平成28年度は以下のとおり教員・家計調査を実施した。また、この家計調査の内容等については、GRIPSで発表を行い、有益なコメントを得ることができた。 (1)教員・家計調査の質問票の作成:研究代表者が、教員・家計調査の質問票の試案を作成し、現地研究協力者とともに数件の家計を対象としたパイロット調査を実施した。パイロット調査の結果、試案の質問項目に、答えることが難しい、もしくは不適切な質問が含まれていることが判明したため、質問の修正を行った。とりわけ、政治的にセンシティブな質問については、同じ内容のことが質問できるような間接的な質問を工夫して作成した。 (2)調査対象教員・家計のサンプリング:当初、無作為に抽出した村の学校のサンプリングを予定していたが、学校そのものを調査対象とするには、パキスタンの治安情勢に鑑み諸々の煩雑な手続きが必要となることが判明したため、教員家計を調査対象とすることにした。具体的には、パキスタン・パンジャーブ州の北部と南部から各1県を無作為に選び(それぞれ、サルゴーダ県とビハーリー県)、各県でセンサスを用いて30村を無作為に抽出した。各村で公立校の教員がいる家計、私立校の教員がいる家計を無作為に1家計ずつ、その他の一般家計を6家計を無作為に抽出した。当初の予定より、村の数を多くすることができたこと(当初は40村であったところ60村)は成果である。 (3)教員・家計調査の実施:上記(2)のサンプリングをもとに、教員家計調査、一般家計調査を実施した。本調査実施に際しては、研究代表者が現地で調査員の教育を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、教員・家計調査を滞りなく実施することが最大の目的であったが、これをほぼ予定どおり達成することができた。また、調査票の作成にあたっては、質問やその聞き方に試行錯誤をこらす時間を確保することができ、内容を充実させることができた。サンプリングには、当初の予定どおり遂行できない事情(治安情勢に鑑みて学校そのものを調査対象にすることが手続き上難しいこと)が判明したが、研究の目的そのものは達成しうる代替策を考えることができた。また、サンプリングでは、村の数を増やすなど、当初の予定以上に質を向上させることができた。本調査の実施は、経験豊かな現地研究協力者との長年の信頼関係もあり、問題なく進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画 上半期はデータクリーニング・実証分析を行う。下半期は、論文執筆、学会発表、学術雑誌への投稿準備に充てる。なお、GRIPSの「新興国の政治と経済:新興国の政治と経済発展の相互作用パターンの解明」のもとの公募研究であり、GRIPSでの発表も予定している。学会発表、他研究者、および政策担当者との意見交換を通じて、広く現地に資するような政策ブリーフィングも作成する。
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