研究領域 | 生命分子システムにおける動的秩序形成と高次機能発現 |
研究課題/領域番号 |
16H00757
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
井上 将彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (60211752)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 核酸 / DNA類似体 / キメラDNA / 酵素的ライゲーション / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
研究初年度には、次の3点に取り組んだ。 (1)計算化学を利用したDNA類似体の改良とその化学合成: DNAリガーゼに対するDNA類似体の反応性向上を目的とし、酵素反応が進行した人工骨格とそうでなかったものとに関して、計算化学を利用して比較検討した。その結果、反応の進行が非常に遅かったDNA類似体では、天然DNAの場合と比較してアノマー炭素間の距離が長くなっていることが判明した。そこでこの点を改善した新たな2種類の人工ヌクレオシドを設計し、それらの化学合成を達成した。実際には、人口核酸塩基とデオキシリボースを連結しているアセチレン構造を排除し、アノマー炭素間の距離を天然の塩基対に近づける戦略をとった。 (2)改良型の人工骨格を導入したキメラDNAの酵素的ライゲーション評価:酵素反応がほとんど進行しなかった系について、新たに合成した改良型のDNA類似体を導入しつつT4-DNAリガーゼによる連結反応を試みた。その結果、反応性の劇的な向上を確認できた。分子骨格の改良と精密有機合成により、まずはDNAリガーゼに対する人工骨格の適合性を向上させることに成功した。 (3)人工ヌクレオチド三リン酸体の化学合成:次年度に展開するDNAポリメラーゼへの適合性評価に向けて、人工ヌクレオチド三リン酸体を化学合成した。まずは以前から用いていた4種類のDNA類似体それぞれの誘導化を、効率よく達成した。本誘導化法は、改良型のDNA類似体にも適用可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の目標に掲げていたDNAリガーゼに対する酵素反応性の向上を、計算化学による分子骨格の再設計と精密有機合成を利用することで達成できたため。また、次年度のDNAポリメラーゼへの適合性評価に必要な化合物も、順調に化学合成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は主に、DNAポリメラーゼに対する適合性評価を展開しつつ、さらなる分子骨格の改良を進める。まず、DNAリガーゼに適合した改良型DNA類似体の三リン酸体を準備する。そして各種DNAポリメラーゼへの適合性を評価する。場合によっては分子骨格にさらなる改良を加え、ポリメラーゼへの適合性を向上させる。また、導入する人工骨格数の増量を目指す。DNAリガーゼ・ポリメラーゼそれぞれの酵素反応について、キメラDNA中に存在するDNA類似体の数を増やしていく。テンプレート、プライマーなどもその対象とし、DNAの非天然性と酵素反応効率に関して評価する。さらに、量子シミュレーションによる適合性評価も検討する。領域内研究者と連携して、量子シミュレーションによるDNA類似体と各種核酸関連酵素との相互作用や動的挙動について検討する。天然DNAについても同様にシミュレーションし、類似点と相違点を抽出することで、さらなる分子骨格の改良を目指す。
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