公募研究
プロテアソームαリング再構成について、まず、超分子質量分析法を用いてα1、5、サブユニットについて、解析を進めた。その結果、これまで会合状態が不明であった、α1と5が単量体を主成分とすることがわかった。これは、α7が多量体を形成することと対比的である。次に、蛍光ラベル化α7を準備し、さらに、異なるαサブユニットを添加して、 蛍光超遠心法により観測することで、動的にアセンブリーが変化する過程の観測を試みた。α7については、蛍光ラベルの影響なく、非常に低濃度での観測(nMオーダー)での測定に成功し、14量体と7量体が観測された。このことから。7量体-14量体形成は、非常に強い相互作用(解離定数:nM~pM)で成り立っていることが明らかとなった。 このα7複合体に、α6やその他のサブユニットをnMオーダーで添加しα7の会合体が構造変化を起こすか蛍光超遠心法により観測を行ったが、 残念ながら、現時点では、α7と相互作用し、14量体がアセンブリー状態を変化させるケースは確認されず、 これまでに見出しているα6サブユニットのみを添加した際も複合体の解離は多くは確認されなかった。 アセンブリーの再構成やサブユニット変換が確認されなかった原因として、 1.蛍光ラベル化α7に多くの未反応Alexaが混在している、 2.複合体状態変化は、もう少し高濃度領域で起こる、が考えられることから 、これら二つの原因を解消するため、現在さらに高純度の蛍光ラベル化α7の精製に取り組んでいる。
2: おおむね順調に進展している
プロテアソームαリング各サブユニットの個別測定、サブユニットの蛍光ラベル方法の確立、に成功していることから、アセンブリープロセス解析のための準備が完了したといえ、次年度に向けて順調に進展していると言える。
本年度の研究から、各サブユニットとの相互作用がそれほど強くない可能性も考えられることから、高濃度(μMオーダー)の未蛍光ラベルα7中に蛍光ラベルα7を少量加え、高濃度状態での蛍光超遠心による検出を試みようと考えている。また、α7が14量体ダブルリング構造を形成していると他のサブユニットがアクセスできずに再構成が起こららない可能性が想定されることから、シングルリングとなる変異体を作成し、他の各サブユニットを添加した測定を実施する予定である。また、当初から計画している、サブユニット交換の有無を同位体標識した試料を用いてい実施する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
mabs
巻: 9 ページ: 664-679
10.1080/19420862.2017.1297909
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 29208
10.1038/srep29208
巻: 6 ページ: 35567
10.1038/srep35567
Protein Sci.
巻: 25 ページ: 2095-2101
10.1002/pro.3031