公募研究
配位金属錯体は特異な立体化学と動的な配位子交換特性をもち、それらを精密に組み合わせると、方向性のある空間の創出と時間発展の同時プログラミングが期待される。本研究では、キラルなペプチド配位子と置換活性な金属イオンにより構築される動的らせん型錯体を基盤として、らせん型金属錯体や生体高分子の集積プログラミングを行い、動的な構造変換系の創出と多元的な高次機能の探索を目指し、以下の成果が得られた。(1)動的らせん錯体の集積化と動的秩序形成研究グループで開発したらせん構造の反転や伸縮が可能な単核らせん錯体の集積化による動的挙動の相乗効果発現を目指して、単核らせん錯体を連結し、多核らせん錯体の外部刺激による構造変換挙動を検討した。しかし、単核錯体を単に連結して多核化を施しても溶解度が低下し応答性を詳細に検討できなかった。そこで、疎水性の長鎖アルキル鎖を導入した配位子を新たに合成し金属錯体化を行った。合成したCo(II)錯体は様々な有機溶媒に可溶であり、例えばアセトニトリル中よりもクロロホルム中の方がアニオンに対するレスポンスは顕著に向上した。(2)マレイミド末端を持つキラル錯体の合成と機能性官能基の秩序創生と動的変換マレイミド基を導入した動的金属錯体に、機能性チオール化合物や天然ペプチド鎖を導入し、それらの相対位置制御によるらせん情報の増幅と分光学的特性や集合状態の動的変換スイッチングを目指した。マレイミド基を含む光学活性な配位子をd.e. 98%以上で収率よく得た。非配位性アニオンを持つCo(II)やZn(II)イオンとの錯体は左巻きらせん構造であった。塩基および酸の交互添加による可逆的伸縮変換も可能であった。さらにマレイミド末端へのチオール含有官能基の導入条件を最適化するとともに、金属錯体の可逆的な伸縮構造変換を末端へ導入した発色団における誘起CDシグナルとして検出できた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Bull. Chem. Soc. Jpn.
巻: 90 ページ: 739-745
10.1246/bcsj.20170054
https://research-soran17.osaka-cu.ac.jp/html/100001094_ja.html
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/chem/func/FC/Top.html