公募研究
本研究では、細胞がみせる形態変化を、様々なゆらぎのもとで、粘弾性体である細胞質と細胞膜が強く相関する「ゆらぎ・構造相関」の視点から解析することを目的としている。本目的のために、H28年度は高粘性な高分子溶液を内包したベシクルに、熱的・非熱的ゆらぎを与えた際の高分子溶液の粘度と膜形態の変化を解析した。その平成28年度の成果から、ベシクルに閉じ込められた高分子溶液の粘度がバルクとは異なり、それが膜変形へ影響を及ぼしているという示唆が得られた。そこで平成29年度は、膜により細胞サイズ空間へ閉じ込められた分子粘性を分子拡散から解析し、高分子濃度や閉じ込めサイズにより内部粘度は変化するという結果が得られたので、以下に報告する。ミクロサイズ空間への閉じ込めが高分子粘度に対して及ぼす影響を解明するために、高分子溶液を油中液滴として脂質膜により覆われたミクロ液滴とし、蛍光相関分光法 (FCS) によりミクロ高分子液滴中の分子拡散を測定し、粘度を推定した。拡散分子に緑色蛍光タンパク質 (GFP) を、高分子溶液には水溶性鎖状高分子であるポリエチレングリコール (PEG) を用い、高分子鎖の重なり合い濃度 c* 前後の濃度で実験を行った。その結果、c*以上の高分子濃度において、0.1 ms 以上の長時間スケールでの拡散係数や異常拡散性を表す冪数が、液滴サイズへ強く依存することが明らかになった。以上から、高濃度高分子溶液を内包したベシクルの膜変形を解明するためには、膜変形の時間スケールに応じて示す高分子溶液の粘度をもとに、詳細に解析する必要があることが明らかとなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Physical Chemistry Chemical Physics
巻: 20 ページ: 8842-8847
10.1039/C7CP08199E
ACS Central Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Soft Matter
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10.1039/C7SM01421J
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10.1073/pnas.1702208114
http://web.tuat.ac.jp/~m_yanagi/