公募研究
細胞膜中に存在する膜タンパク質などの柔らかな分子に関して、固体核磁気共鳴(NMR)法を駆使して構造解析を行い、本年度は次のような重要な成果をあげた。1. 固体NMR, VCD及びMDシミュレーションなどを駆使して、D-アミノ酸残基を有する抗菌性ペプチド ボンビニンH4と細胞膜との相互作用様式を詳細に明らかにし、高い活性を発現するためのDアミノ酸の役割を示した。特に、Dアミノ酸が存在することによって、N端側から2残基の疎水性側鎖がシス型の構造になり、これが脂質二重膜の疎水領域にアンカーとして相互作用することで膜貫通状態に移行しやすいことを示した。これは全てL体のアミノ酸で構成されるボンビニンH2では見られないため、Dアミノ酸の役割を分子レベルで示したユニークな成果である。2. 微生物型ロドプシンの一つである光駆動型ナトリウムイオンポンプロドプシンの細胞外側ナトリウム結合サイトの構造変化と反応中心であるレチナール結合サイトの長距離の相互作用を明らかにし、ポンプ活性にナトリウム結合サイトの構造が関与していることを示した。特にH30A変異体のナトリウムイオン非存在条件ではシッフ塩基と対イオンであるAsp116の静電相互作用が強まることが明らかとなった。3. 特定の条件で短いペプチドが自己組織化してナノファイバーは様々な応用が期待されている。本研究によってナノファイバーを形成した際の分子構造を緻密に調べるための固体NMR実験を実証した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Physical Chemistry Chemical Physics
巻: 20 ページ: 8450~8455
10.1039/C8CP00626A
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Proteins and Proteomics
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.bbapap.2018.01.005
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 91 ページ: 141-146
10.1246/bcsj.20170319
Polymer
巻: 132 ページ: 227~234
10.1016/j.polymer.2017.11.011
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 3416
10.1038/s41598-017-03584-1
http://er-web.jmk.ynu.ac.jp/html/KAWAMURA_Izuru/ja.html