公募研究
代表者は、アミロイド線維形成が、溶解度と過飽和によって決まる相転移現象であることを提唱してきた。さらに、析出力が強い条件下では、ガラス状態に相当するアモルファス凝集を形成する。アミロイド線維とアモルファス凝集の分配は、両者の競争反応によって起きることが示唆される。本研究では、フォールディングとミスフォールディングを包括する構造転移のモデルを実験と理論によって構築するため、超音波を用いたミスフォールディング計測の実験的研究を、平成29年度4月から6月にかけて重点的に行った。その結果、以下の成果を得た。①アミロイド相転移の速度論と計測:プレートリーダを用いるHANABIと、通常の蛍光光度計のセルに直接超音波を照射するシステムを用いて、アミロイド線維の形成機構を研究した。アミロイド線維とアモルファス凝集の形成過程を比較することにより、アミロイド線維の競争的形成を検証すると共に、アモルファス凝集が過飽和解消のトリガーとして作用することを示唆する結果を得た。③アミロイド線維とアモルファス凝集の直接的比較:445 nmのLEDランプを用いて、マイクロプレート中のアミロイド線維を特異的に観察する方法を確立した。溶液の見かけの凝集状況と比較することによって、変性蛋白質の可溶性状態、アミロイド線維、アモルファス凝集間の相転移を、可視化することに成功した。これにより、アモルファス凝集とアミロイド線維の競争的形成反応がより、明確となった。しかしながら、平成29年6月30日付の平成29年度科学研究補助金内定において、研究代表者となっている課題(新学術領域研究(研究領域提案型)課題番号:17H06352)が新たに採択されたため、本研究は廃止した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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