公募研究
3Dドメインスワッピングはタンパク質分子間で同一構造領域を交換する現象である。本研究では、様々なヘムタンパク質を対象に、ループ部位に着目してドメインスワッピングについて調査する。本年度は、好熱菌シトクロムc552と緑膿菌シトクロムc551間でN末端領域を交換した2種類のキメラタンパク質のドメインスワッピングを利用し、Met/His配位の活性部位を2つ有するヘテロ2量体タンパク質を作製した。さらに、片方のキメラタンパク質の活性部位構造を変異させることにより、Met/His配位とHis/H2O配位の異なる活性部位を有するヘテロ2量体タンパク質を作製した。異なる活性部位を有するヘテロ2量体タンパク質のHis/H2O部位への酸素分子の結合は共鳴ラマンスペクトルにより確認した。還元型ヘテロ2量体タンパク質を酸素分子と反応させると、Fe-O2伸縮振動(νFe-O2)に由来する振動バンドが580 cm-1に観測され、18O2結合型でνFe-O2は 554 cm-1に低波数シフトした。これらの結果より、ドメインスワッピングが異なる活性部位を有する多ヘムタンパク質の構築に有用であることが示された。さらに、ドメインスワッピングしたシトクロムc 2量体をレーザートラッピング法により溶液中で局所的に集め、球状のアミロイド線維凝集体を作製することに成功した。アミロイド線維の形成はチオフラビンTによる蛍光および電子顕微鏡像により確認した。作製したアミロイド線維凝集体を直線および3次元に配列することにも成功した。また、シトクロムcの多量体形成メカニズムの解明を目指して、分子動力学シミュレーションと液体の積分方程式理論を用いて単量体と二量体の熱力学安定性の解析を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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