MDシミュレーションと3D-RISMにより、チャネルロドプシンの閉状態および初期開状態の構造探索及びチャネル内の水分布に関する研究を行った。得られた研究結果は現在論文として国際誌に投稿準備中である。 また、3D-RISM理論とストリング法を組み合わせた効率的なチャネル内イオン輸送経路探索手法を開発した。この手法では、与えられたタンパク質構造(たとえばMDなどで求める)に対して、3D-RISM理論を用いて、イオンの平均場ポテンシャルを求め、その平均場ポテンシャル曲面上の自由エネルギー最小経路をストリング法で決定するというものである。この手法をチャネルロドプシンの閉構造の細胞外側チャネルに適用し、解離性残基のプロトン化状態に依存したイオン透過の自由エネルギープロファイルの変化を明らかにした。この成果はChemical Physics Letters誌に掲載された。 さらに、本新学術領域から旅費援助を受けて、タイ・カセサート大学との共同研究を行った。共同研究では3D-RISM理論を用いてプルシアンブルーによるセシウムイオンの吸着過程を明らかにした。この成果もChemical Physics Letters誌に掲載された。
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