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2016 年度 実績報告書

ニュートリノ高精度測定を実現する高性能光検出器の開発

公募研究

研究領域ニュートリノフロンティアの融合と進化
研究課題/領域番号 16H00861
研究機関東京大学

研究代表者

西村 康宏  東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (40648119)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード光検出器 / ニュートリノ / 水チェレンコフ光検出器
研究実績の概要

50cm径高性能ハイブリッド型光検出器(HPD)の実用化に向けた回路開発を行った。
光電子増倍管の50cm大口径化成功によりカミオカンデは多くの成果を上げ、更に性能を倍増した50cm径光電子増倍管によりスーパーカミオカンデでニュートリノ振動発見等の成功をもたらした。これを踏まえ、次世代のハイパーカミオカンデ実現に向けてより高い検出効率と分解能を持つ50cm径HPDを開発してきた。
従来の光電子増倍管との違いは、HPDでは内部の半導体検出器を用い、アンプ回路を内蔵してより高電圧で駆動させることにある。光電子増倍管と同様に20年以上の長期で安定に作動するには、これら回路系の寿命を把握し、故障をできるだけ抑える回路を完成させる必要がある。本年度は、まず回路の基本設計を絞り、性能をより高められるように回路を調整して完成させた。
内部の半導体検出器は寄生容量が大きく、800pFであった。そのため、400pFに半減した上、面積を分割して読み出す5分割型、2分割型により、2分割型で性能が最も良く出る事を示していた。ただし、2分割型では収集効率が落ちるため、1分割型でも時間分解能を十分に出せるアンプを開発し試験した。結果として、時間分解能は2分割型では半値全幅で3.8ナノ秒であったが、1分割型でも3.2ナノ秒を達成できた。スーパーカミオカンデで用いる光電子増倍管7.3ナノ秒の半減以下の改善となる。
また、これまでHPDに内蔵型の高電圧電源を用いてきたが、故障した場合は交換修復不能になる。そこで外部電源印加方式の立証と、高水圧中で8kVを接続できる水中コネクタを開発した。ハイパーカミオカンデで用いる20m先から電圧を供給してもHPDの性能に支障はなく、またコネクタの絶縁性を確かめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

部品の試験・評価を行う過程で、当初の予想に反し、ノイズの影響が大きかったため、回路構成が時間測定を行うには不十分であると判明した。回路改良によりノイズを抑え、時間性能を改善するところまで達成した。

今後の研究の推進方策

必要な部品が入手できなくなったため、大量数の部品を見るのではなく、少数で長期に用いることにより、寿命と耐性を評価することにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] New 50 cm Photo-Detectors for Hyper-Kamiokande2017

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro NISHIMURA
    • 雑誌名

      Proceedings of Science

      巻: ICHEP2016 (2017) 303 ページ: 1-6

    • DOI

      10.22323/1.282.0303

    • オープンアクセス
  • [学会発表] New 50 cm Photo-Detectors for Hyper-Kamiokande2016

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro NISHIMURA
    • 学会等名
      The 38th International Conference On High Energy Physics
    • 国際学会
  • [学会発表] PhotoDetector Development for Hyper-Kamiokande2016

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro NISHIMURA
    • 学会等名
      The APS Coordinating Panel for Advanced Detectors Instrumentation Frontier Meeting (CPAD16)
    • 国際学会
  • [学会発表] Large PMT R&D in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro NISHIMURA, Shoei NAKAYAMA
    • 学会等名
      International Workshop for the Next Generation Nucleon Decay and Neutrino Detector (NNN16)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Development of a High-Resolution 50 cm Photodetector for Hyper-Kamiokande2016

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro NISHIMURA
    • 学会等名
      International Workshop for the Next Generation Nucleon Decay and Neutrino Detector (NNN16)
    • 国際学会
  • [学会発表] ハイパーカミオカンデでの加速器ニュートリノ実験2016

    • 著者名/発表者名
      西村康宏
    • 学会等名
      日本物理学会 第72回年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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