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2016 年度 実績報告書

精密飛行時間測定によるニュートリノレス二重ベータ崩壊探索の新手法の開発

公募研究

研究領域ニュートリノフロンティアの融合と進化
研究課題/領域番号 16H00865
研究機関名古屋大学

研究代表者

松岡 広大  名古屋大学, 現象解析研究センター, 特任准教授 (70623403)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードニュートリノレス二重ベータ崩壊 / 飛行時間測定 / チェレンコフ光
研究実績の概要

ニュートリノの質量は、ニュートリノ振動により0でないことが示されたが、他の素粒子と比べて非常に小さく、絶対値も起源もまだわかっていない。ニュートリノの小さな質量を説明する有力な理論としてシーソー機構があるが、ニュートリノが粒子と反粒子の区別がないマヨラナ粒子であることが要請される。ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β崩壊)は、ニュートリノがマヨラナ粒子であることの証拠であり、その崩壊率の測定からニュートリノの質量を決めることができる。しかし、崩壊率は非常に小さく、0ν2β崩壊はまだ発見されていない。
本研究は、放出される2本のベータ線の飛行時間をそれぞれ精密に測定することで、ベータ線の運動エネルギーを再構成し、0ν2β崩壊を同定するという、これまでにない新しい手法を提唱・検証するものである。本手法では、崩壊核ソースの膜を薄いチェレンコフ輻射体で挟み、そこから両側の一定距離に光検出器面を配置する。ベータ線が放出するチェレンコフ光から崩壊点の位置と時間を再構成し、ベータ線の光検出器面への到達位置と時間から飛行時間を測定する。時間分解能の良い光検出器を用いれば、精度良く飛行時間ひいては運動エネルギーを測定できる。
モンテカルロ・シミュレーションにより、本手法で期待される0ν2β崩壊の探索感度を見積もった。62.4 kgの崩壊核ソース130Teを使用した5年間の観測で、光検出器にPHOTONIS製の2インチサイズのMCP-PMTを用いる場合、Q値におけるエネルギー分解能は240 keV(FWHM)、検出効率は19%、0ν2β崩壊寿命に対する感度は4.8E25年であった。チェレンコフ光の検出効率を2倍近くまで向上させれば、計画中の他の実験と同程度の感度を得られる。しかし、MCP-PMTは非常に高価であるため、それに代わる新たな高時間分解能光検出器の開発が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

浜松ホトニクス製の1インチサイズのMCP-PMTを4本用いて、本研究で提唱する0ν2β崩壊の新手法を検証する予定であった。しかし、MCP-PMTの製造過程で問題が発生し、納入が遅れてしまったため、検証実験の開始が遅れてしまっている。その間、モンテカルロ・シミュレーションによる0ν2β崩壊探索実験の最適化と期待される実験感度の見積りを進めた。また、MCP-PMTに代わる新しい光検出器を考案し、その試作機の製作を進めた。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、浜松ホトニクス製の1インチサイズのMCP-PMTを4本用いて、本研究で提唱する0ν2β崩壊の新手法を検証する実験を進める。
ただし、0ν2β崩壊探索の本実験でMCP-PMTを使用するのは、MCP-PMTの購入費用が膨大になるため、現実的ではない。本手法による0ν2β崩壊探索実験を実現する上で、安価で大面積を覆うことができ、かつMCP-PMTと同等以上の時間分解能を持つ新たな光検出器の開発が必要である。そこで、ガス増倍機構を持つ新たな光検出器を考案した。上記の新手法検証実験と並行して、その光検出器の動作テストと時間分解能の評価を行っていく。
最終的に、検証実験の結果と新しい光検出器の性能をもとに、モンテカルロ・シミュレーションにより、本手法で期待される0ν2β崩壊の探索感度を見積もる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Research of a new TOF method for neutrino-less double beta decay search2016

    • 著者名/発表者名
      Kodai Matsuoka
    • 学会等名
      Neutrino Frontier Workshop 2016
    • 発表場所
      石川県加賀市
    • 年月日
      2016-11-30

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公開日: 2018-01-16  

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