研究領域 | ナノ構造情報のフロンティア開拓-材料科学の新展開 |
研究課題/領域番号 |
16H00885
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 康史 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (90624841)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表面・界面 / 走査プローブ顕微鏡 / 電気化学計測 |
研究実績の概要 |
畜電池の高速充放電の実現には、電池材料の反応メカニズムの詳細な理解が求められている。特に、電池材料開発の指針を立てる上で、LiFePO4など、二層分離を起こす材料がなぜ高速充放電が可能か、メカニズムの理解が必要である。放射光技術によるオペランド計測がこのような充放電過程における準安定構造の存在を証明したが、これらの影響と電池特性を結びつけるには、通常の電気化学計測法では時空間分解が課題である。申請者が開発したナノ電気化学セル顕微鏡(NanoSECCM)は、ナノピペットを利用して電池構造をナノ空間で再現し、イオンの挿入脱離に伴う電流を測定する。この電気化学セルが非常に微細なため、容量電流の影響を劇的に抑えることができ、従来の10000倍の高速CV測定や、充放電特性の2次元イメージングが可能である。本手法を用いて、これまで得ることのできなかった高速充放電中に生じる固/液界面、固/固界面での変化を理解し、その知見を材料開発にフィードバックし、ナノ空間を利用した材料界面でのイオン伝導性向上の設計指針を確立する。本年度は、LiFePO4など、二層分離の際に生じる準安定構造由来の電位を電気化学的に計測するため、GITT(GalvanostaticIntermittent Titration Technique),PITT(Potentiostatic Intermittent Titration Technique)の計測システムの開発を行った。さらに、LiFePO4の合材電極に関して、こちらのGITT、PITTを利用した計測に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、ナノスケールの電気化学セルを利用して、電流、電位、充放電、CVイメージングを実現してきたが、定量的な拡散係数や、電位の変化を計測するために、GITT,PITTなど計測システムを確立した。このシステムを利用し、最終的には、LiFePO4の1次粒子の計測を目標として、LiFePO4の合材電極の評価を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
開発した局所的なGITT,PITTの計測システムを、薄膜電極に応用することで、単結晶の計測などにより得られる材料そのものの物性だけでなく、表面修飾の影響や、結晶方位、結晶粒界とLiの拡散係数など、材料中に形成された不均一な構造体の電池特性への影響を評価する。さらに、電池材料と電解液の界面だけでなく、高速充放電を行った際に生じるイオンの偏りを評価する。
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