微惑星衝撃波は小惑星帯など巨大惑星軌道の内外で恒常的に発生し、惑星材料物質であるダストや微惑星に対し加熱、熱変性、蒸発、再凝縮、結晶化等を引き起こす。大規模並列計算用の分子動力学(MD)計算コード(LAMMPS)を用いて、気相から液相あるいは非晶質相へ凝縮した粒子がのちに結晶化する様子を再現した。MD計算により非晶質相から結晶相への相変化を詳細に調べ、結晶核発生時間(核生成率)や結晶核成長率を求めた。本研究の結果は気相から固相への相転移は、すぐに安定相の固相に転移するのではなく、まず気相から過冷却液滴が生成し、その後準安定相への結晶化などを経てから安定相になる多段階核生成であることを示した. これらの結果および理論的な考察により、どのような冷却環境で凝縮したダストがアモルファス化するのか、または結晶化するのかについて条件を求めた。また連携研究者と共に、系外惑星を想定し、ガス惑星形成後の微惑星の軌道進化計算を行い、それに伴う物質進化について検討した。系外惑星やさまざまな原始惑星系円盤を想定し、ガス惑星の質量と軌道、および円盤ガスと微惑星の質量や初期位置などをパラメータとしてさまざまな軌道を計算した。その結果、ガス惑星と円盤ガスとの重力相互作用により微惑星の軌道長半径はおよそ百万年程度で小さくなる一方、離心率はガス惑星の軌道長半径のおよそ半分程度付近で最大となり強い衝撃波が発生することが分かった。発生した強い衝撃波は氷微惑星を蒸発させると共に、円盤中のダストを融解あるいは結晶化するまで加熱する。また何割かの微惑星は円盤の外側遠くに飛ばされることが示された。これらのプロセスに伴う分子輝線や結晶化ダストは観測可能であり惑星形成のプローブになりうることを示す。
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