公募研究
本研究の目的は2光子同時検出技術及びSOI技術を用いて2光子同時計測コンプトンカメラおよび電子飛跡追跡型コンプトンカメラの原理実証を行うことである。これまでにモンテカルロシミュレーションを用いてシングルコンプトンカメラとダブルコンプトンカメラの比較を行い感度が大幅に向上することを確認した。またシンチレーター型のコンプトンカメラを2台用いて同期を行うことで、2光子の同時計測を行い、134Csや22Naなどの2光子放出核種においても高感度が実現可能であることを実証した。これにより本方式の原理的な優位性が確かめられた。2光子放出核種の同時計測を行うことで従来よりも高感度なイメージングが可能であり、生体や複雑な分布線源などの実際に必要な環境下において線源や位置の特定の高度化が可能であることが実証された。今後更に低エネルギーへの拡張を目指してSOIを用いたセンサーの開発を行っていく予定である。一方で反跳電子飛跡追跡の方はマイクロメートルのピクセル型SOIセンサーを用いることで非同期の電子飛跡追跡に成功しており、今後電子飛跡追跡および2光子コンプトンカメラを組み合わせた系を構築して高い感度を有する分子イメージングの実証を行っていく予定である。2光子コンプトンカメラにおいてもコンプトンコーンの重なりで残る部分のアークに対して電子トラッキングによる制限をかけることでさらなる高感度化および最終的には一度のイベントで1点に特定が可能であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
本研究では2光子もしくは多光子同時放出核種に対して、同時計測を行うことでコンプトン散乱の原理を用いてコンプトンコーンの重なりを算出し描画することで従来のシングルコンプトンカメラよりも高い感度を実現できる方法の提案と実証を行うことを目的としている。まずここではモンテカルロシミュレーションにより発生させた2光子に対してシングルコンプトンカメラとダブルコンプトンカメラの比較を行い感度が1桁以上向上することを確認した。次に原理検証のためシンチレーター型のコンプトンカメラを用いて同期をおこないバックプロジェクションを行うことで感度の向上を確認した。これにより原理検証が完了し非常に順調に進展している。電子飛跡追跡型のほうはXRPIX2bを用いて30ミクロンの非同期型の電子飛跡追跡を実証しており順調に進展している。今後散乱体としてSOIを用いた系を検討していく。
これまでにシンチレーター型のコンプトンカメラにより2光子コンプトンカメラの原理検証を実施した。これにより感度の飛躍的な上昇が確認できたが、それでも一部にアークが残ることが確認されており今後SOIを用いた電子飛跡追跡と組み合わせることでさらなる高感度化を行う。現在15ミクロンm程度のトリガータイプのSOIピクセルセンサーの試作設計を行っている段階であり、SOIでの電子トラッキングの検証を進めていく。また2光子コンプトンカメラに関しては134Cs, 22Naに加えて111Inを用いた検証を実施していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Instrumentation
巻: C01045 ページ: 12(01)
巻: C02030 ページ: 11(02)
http://soipix.jp/a-01-1.html