研究領域 | 3次元半導体検出器で切り拓く新たな量子イメージングの展開 |
研究課題/領域番号 |
16H00946
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 敏彦 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40251912)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | X線 / 残留応力 / 回折環 / SOI / 半導体検出器 |
研究実績の概要 |
SOI検出器の一種であるINTPIX4を用いて工業材料を対象にして回折環を高速かつ高精度に計測し、それを精密に画像解析してブラッグ角を算出し、ブラッグの法則に基づいて測定サンプルのひずみ状態を求め、さらに、得られたひずみから測定サンプルの残留応力をほぼリアルタイムで測定するための基礎研究を進めた。とくに、本年度は本技術を工業利用する上で必要になるセンサー部の小型化のための検討を重点的に進め、SOIチップを搭載する基板(サブボード)の再設計を行うと共に、従来より大幅に小型化となる70mmx80mmのサブボードを開発すると共に、SOIチップで計測された回折X線データをコンピュータに渡すために必要な評価ボード(SEABAS)との間に対し、従来のコネクタ接続からケーブル接続可能とした。これにより、工業的応用に必要な様々な形状を有する測定サンプルへの適用が大きく広げられた。こうして製作したSOI式検出器式回折環計測機構部を用いて残留応力の公称値が保障されている市販の応力試験片に対する応力測定精度の検証試験を実施した。その結果、メーカー公称値の信頼限界値±35MPaに対して、本開発機では±25MPaを得ることができた。また、この間の応力測定時間は約2秒であり、世界最高速の応力測定装置が実現した。本開発機の応用として、軸受材料や、転がり疲労損傷を受けた鉄道レールなどに適用し、イメージングプレート式の従来機との比較を行った。その結果、高精度の特長を生かしつつイメージングプレート方式の60倍近い高速測定が可能になることが判明し、期待される良好な成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
工業的応用に必要なセンサー部の小型化を達成し、それを用いての高精度かつ高速な残留応力測定技術が実証できた。また、可搬性の追及により、検出器電源部を小型ケースに収めることにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討課題として、長時間連続使用する上で必要な熱対策が考えられる。また、測定精度のさらなる改善と装置使用の簡便化のための、X線コリメーター部の改善及び一括管理ソフトの開発などに取り組んでいく。
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