研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
16H00952
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中山 哲 北海道大学, 触媒科学研究所, 准教授 (10422007)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 第一原理計算 / 抵抗変化型メモリ / ReRAM |
研究実績の概要 |
不揮発性抵抗変化型ランダムアクセスメモリ(ReRAM)は抵抗変化が高速であり、大きな抵抗変化比を保ったまま微細加工できるために次世代メモリとして期待されている。酸化物(Ox)を金属電極(Metal)で挟んだM-Ox-M構造における抵抗スイッチ効果を利用したメモリの研究開発が活発に行われており、本研究では、第一原理計算によって、その伝導パスの形成過程と動作機構に着目した計算を行った。 H28年度は、前回の公募研究で示した抵抗変化メモリの動作機構に関する成果をさらに発展させ、「抵抗スイッチング効果における動作起源の解明」と「集積化に向けた第一原理デバイスシミュレータとしての理論的フレームワークの提案」を目標として、以下の研究項目(1)に取り組んだ。 (1)M-Ta2O5-Mモデルに対して、非平衡過程の計算手法を用いて抵抗スイッチング効果のメカニズム解明を行い、制御因子の抽出を行う。非平衡分子動力学法を用いて温度勾配と濃度勾配下でのイオンの移動現象を調べ、第一原理伝導計算から評価する電流誘起による力と比較することで、ジュール熱による力との競合関係を明らかにする。 抵抗スイッチング効果に対して、Accelerated MD法を用いてタンタル酸化物中の酸素イオンを電極側に移動させることで、SET/RESET動作を電極界面での酸化還元過程とみなしてきた。H28年度は統計量を増やし、抵抗スイッチングに必要な力の定量的算出と、酸素欠陥(イオン)分布の特徴を捉え、化学ポテンシャルの計算からリテンションに関する情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在は項目(1)に取り組んでおり、第一原理分子動力学計算による酸素欠陥濃度に関する知見が得られ、一定の成果が上がっているが、統計量の算出に時間がかかっており、第一原理伝導計算から評価する電流誘起による力との比較が十分に行われていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き(1)の項目に取り組むが、項目(2)の「電流値バラつきとフィラメント相互作用の定量的評価」に着手し、DFTB法のパラメータセットの決定を行う。
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