公募研究
分子エレクトロニクスは次世代を支える研究分野であり、単一分子素子を志向した様々な導電性化合物の開発が進められてきた一方で、分子集合体である超分子を素子として活用できれば、その構造柔軟性に基づいて構造・機能を多状態に渡って制御できることや、次世代型分子素子に重要なゆらぎや雑音の要素を導入できる可能性がある。本研究では、我々が開発した超分子錯体ナノファイバーを分子素子として活用することを目指して、外部刺激に応じて多様な積層様式を形成できる白金錯体に着目し、前年度は一次元積層能を有する大環状白金二核錯体を合成・精製して、それらの光学特性や自己集積能の評価を進めた。そこで当該年度は、大環状白金二核錯体に様々な外部刺激や試薬を加えることにより大環状白金二核錯体を化学修飾し、その構造に応じて様々な積層様式をデザインすることを目指して研究を行った。例えば大環状白金二核錯体の対アニオンを様々なアニオンに交換して、それらの自己集積能や光学特性についての評価を進めた。また、白金(II)錯体を酸化して白金(IV)錯体へと変換することや、アニオン性-カチオン性白金錯体を混合することによって、ハロゲン架橋型や異種電荷積層型の超分子ナノファイバー構造を構築することを試みた。一方で、大環状配位子と白金酸を混合することにより、プロトン化された大環状配位子とヘキサクロリド白金酸アニオンとの間での静電相互作用を駆動力として、超分子ナノファイバーが再現性良く形成することを各種電子顕微鏡測定やAFM測定などより明らかにした。上記の成果に加えて、本領域の他グループとの共同研究として、超分子ナノファイバーの電気伝導性評価や、大環状銀二核錯体内への機能性ケイ素化合物の包接などについても検討を進めた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Am. Chem. Soc.
巻: 139 ページ: 11214-11221
10.1021/jacs.7b05671