研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
16H00958
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ電極 / リソグラフィー / PSI / PSII / 光電流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は金やシリコン電極をナノメートルサイズまで小型化し、自己組織化単分子膜(SAM)を活用した① 生体分子による少数フォトンカウンティングシステムの構築と② ギャップ電極中のポリチオフェン分子の架橋による分子細線素子の構築である。この研究の最大の特徴は分子アーキテクトニクスの考え方に立脚し、数ミリメートル~数マイクロメートル程度の大きさで展開していた修飾電極をナノサイズ(分子サイズ)に適応し、分子スケールデバイスに応用することにある。使用するナノ電極については生体分子の大きさにフィットするように40 nmφの金電極を予定している。 平成28年度は、電子線リソグラフィー技術を用いた内径数十 nmφの円状金ナノ電極を作成、PSIを2 nm程度の粒径を有する金ナノ粒子の固定化、構築した複合材料の光照射(680 nm)による1フォトン計測を目的とした研究を行った。1つの金ナノ電極上に1つのPSIしか固定化できないように「Si-Au/Ti-Si3N4-フォトレジスト」から成る電極基板を作製し、電子線描画、現像、イオンエッチング、フォトレジストの除去の条件検討を詳細に行い、最終的に直径15 nm程度の円形金ナノ電極を作製することができた。表面構造はAFM観察によって詳細に行った。また、別実験で粒径2 nm程度のサイズのそろった金ナノ粒子を調製し、これを介したPSIの金電極への固定化を行った。現在の条件ではPSIは電極上で凝集して固定化されているので、固定時間と吸着量の検討を行っている。 派生した研究として白金ナノ粒子を介してPSIIを金基板に固定化する実験も行った。得られた修飾電極は断面SEM観察や光挙動により構造確認を行った。この基板にアスコルビン酸ナトリウムの存在下680 nmの光を照射すると効率良く光電流を取り出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学の研究者と協力をしてナノ電極の作製まで成功し、条件検討も順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き本申請に関する実験を行い、1つの金ナノ電極に1つのPSIが固定化できる条件下で、680 nmの光照射を行い、1フォトンが精密に計測できるシステムを平成29年度中に作製する。
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