研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
16H00973
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
樋口 昌芳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (80306852)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタロ超分子ポリマー / head-to-tail構造 / 双極子モーメント / 整流特性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的:メタロ超分子ポリマーフィルムにおける電子移動の自在制御を目的として、非対称型の有機モジュールと金属イオンの錯形成によって、双極子モーメントが主鎖の一方向に揃ったhead-to-tail構造のメタロ超分子ポリマーを合成する。得られたメタロ超分子ポリマーを電極に(双極子モーメントの向きを揃えて)垂直配向させることで、電極界面での電子移動の自在制御(整流特性の自在制御)を実現し、それを用いた整流素子を作製する。
平成28年度の目標:双極子モーメントが揃った(head-to-tail型)メタロ超分子ポリマーの合成
平成28年度の研究実績:単座配位部位と多座配位部位の両方を有する新しい非対称型有機モジュールを鈴木-宮浦クロスカップリング反応を用いて合成した。非対称型有機モジュールの多座配位部位には、ターピリジン系三座配位子を選択した。単座配位部位には、ピリジン構造を用いた。遷移金属イオンとして平面四配位構造の白金イオンを用いた。最初、白金イオンを非対称有機モジュールの多座配位部位に配位させることで1:1錯体を合成した。次に、反応条件を変えて、錯体内の白金イオンと単座配位部位を(錯体間で)錯形成させることで重合させ、双極子モーメントが一方向に揃ったhead-to-tail型のメタロ超分子ポリマーを合成することに成功した。錯形成はNMRスペクトルから確認された。また、透過型電子顕微鏡(SEM)測定により、得られたメタロ超分子ポリマーのバンドル構造を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい非対称型有機モジュールを用いて、白金イオンと逐次的に錯形成させることで、双極子モーメントの揃ったhead-to-tail構造を有するメタロ超分子ポリマーの合成に成功し、透過型電子顕微鏡により、そのポリマーのバンドル構造を確認しており、当初の研究計画に沿って研究が進展したと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、得られたメタロ超分子ポリマーを用いた薄膜を電極基板上に作製し、対極と組み合わせることで整流特性を有する素子を開発する。
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