研究領域 | 分子アーキテクトニクス:単一分子の組織化と新機能創成 |
研究課題/領域番号 |
16H00974
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
内藤 泰久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10373408)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ナノギャップ / 分子エレクトロニクス |
研究実績の概要 |
平成28年度については、低コストナノギャップ電極作製を実現するめ、電極作製に対する作製装置の選定も含めてコストダウンの可否について検討した。その中で、高額な装置を必要とする光露光や電子ビームリソグラフィーと言ったパターニング装置、研究用で少量作製にしか向かない抵抗加熱蒸着機や電子ビーム蒸着機など、これまでナノギャップ電極作製で実績のある装置群を利用せずに作製することを探求した。また、光露光や電子ビーム露光装置を利用した場合、有機レジストの塗布や剥離を行うために、有機溶媒を使うプロセスを必要とするが、この工程もコストがかかるうえ、有機溶媒に耐性がある基板・電極材料しか利用できないという制約がある。これらを踏まえ、ナノギャップ作製の低コスト化を検討した。まずパターンニングプロセスについてはメタルマスクや、10万円程度で購入できる廉価レーザー加工機によるパターンニングを行い、蒸着については、広くライン工程などで用いられ、研究用としても安価なマグネトロンスパッタ装置を用いた。その結果、ナノギャップ形成のための装置導入を含めたコストを極めて軽減できることが分かった。具体的には約100万円程度の出資でsub1nm幅のナノギャップ電極を作製可能であることがわかった。 この低コスト化の成果は、微細化装置にあまり触れないような分子合成の研究者などにも、分子エレクトロニクスに関する研究の裾野を広げることができるのではないかと期待している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノギャップ作製の低コスト化については、当初パターンニングはメタルマスクで実施する予定であったが、その箇所にナノギャップ形成のためのプロセス電圧が漏電し、うまくギャップ形成ができない問題があったが、新たにレーザー可能機を導入することで、メタルマスクのパターンを絶縁性有機フィルム(カプトンフィルムもしくは薬包紙)に転写し、メタルマスクの代わりにパターンニングに用いることで漏電の問題を解決させた。 また、作製したナノギャップに合成分子を展開し、特定ガスを検出する分子センサーとする予定であったが、ターゲットとなるガスの納期が間に合わず一部の研究を次年度に持ち越した。
|
今後の研究の推進方策 |
今回開発性ナノギャップ作製手法およびそれに付随するノウハウは、新学術領域内で宣伝を行い分子エレクトロニクス研究に利用した頂けるようにアピールを行う。また、今年度先送りしたこのナノギャップ電極を用いた分子センサーについては、次年度に繰り越す予定である。
|