新規開発したダイヤモンドNVセンターを用いた局所磁場測定システム磁場の空間分解測定に関する研究を実施した。広視野光学顕微鏡を用いてダイヤモンドNVセンターESRイメージングに成功し、高速sCMOSカメラを用いた独自の方式の広視野マイクロ波周波数変調イメージングにより磁場分解能が向上することを示した。温度可変クライオスタット中のトポロジカル候補物質を評価するためのダイヤモンドNVセンターESRイメージングシステムを構築した。ヘリウムクライオスタット試料ステージのマイクロ波照射による温度上昇を最小限とするため、A02班柏谷氏と共同で2.9 GHzにインピーダンスマッチングしたマイクロ波アンテナを設計、製作し、クライオスタットの外部から試料にマイクロ波を照射するシステムを開発し、超高感度磁場測定に十分な性能を達成した。トポロジカル絶縁体薄膜に外部磁場を印加して磁化させた後に、その磁化によって生じる磁場ベクトルを、4方向の結晶軸のNVセンターの電子スピン共鳴位置から再構成された。複数の試料温度において薄膜試料に水平、垂直方向の磁場を印加して磁化させたそれぞれの場合について、磁化により生じた磁場ベクトルを得た。その結果、バルクではc軸方向であった磁化ベクトルが薄膜ではc軸と垂直の面内方向であることが示された。さらにA01班前野氏、A02班柏谷氏と共同でSQUIDを用いたp波超伝導体Sr2RuO4-Ru共晶の渦糸の分布の研究を実施した。本研究で得られた成果は、新奇トポロジカル物質中の電流密度・磁場分布の空間分解測定を通じた新規な物性の開拓研究に寄与するものである。
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