公募研究
本研究は、スピン三重項超伝導体として知られている層状ペロブスカイト型ルテニウム酸化物について、薄膜構造で初めて可能となる接合を作製し、ルテニウム酸化物の超伝導対称性とトポロジカルな超伝導特性を明らかにすることを目指している。今年度は、超伝導ルテニウム酸化物薄膜・接合の実現のために、電子ビーム加熱を利用した酸化物分子線エピタキシー成長について、装置のさらなる改良と成膜条件の改善及び成膜技術の蓄積に特に力を入れて進めた。これにより、パルスレーザー堆積法により作製した過去のルテニウム酸化物薄膜 (Y. Krockenberger, M. Uchida, et al., Applied Physics Letters 97, 082502 (2010)) と比較しても、逆位相境界欠陥の抑えられた薄膜試料が安定的に得られるようになった。さらに、結晶軸が基板垂直方向から傾いたオフ基板や、単一人工粒界をもつバイクリスタル基板の上においても、高品質なルテニウム酸化物薄膜・接合を成長させることに成功した。これにより、単一の傾角粒界をもつジョセフソン接合の測定実験の可能性がひらけてきた。今後、これらの薄膜・接合の作製方法及びデバイス加工手法の改善を進めることにより、微小加工試料・人工粒界接合における位相敏感な測定による実験を実現し、ルテニウム酸化物の超伝導対称性とトポロジカルな超伝導特性の解明を進める。
2: おおむね順調に進展している
スピン三重項超伝導体として知られる層状ペロブスカイト型ルテニウム酸化物の薄膜・接合の作製に成功しており、研究は順調に進展していると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件)
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