公募研究
本研究ではトポロジカル(結晶)絶縁体を物質として用い、その性質解明、およびそれを用いた新しい系における現象の観測に力点をおいた。具体的に得られた研究実績は以下の通りである。1.SnTe/Bi界面においてトポロジカル超伝導である可能性がある二次元超伝導の実現 ミスフィット転位によってSnTeとBiの界面に超伝導を誘起し、トポロジカル超伝導候補物質を発見した。2.√3×√3-Bi上における平坦SnTe薄膜の作製 絶縁体であるSi(111)√上の3×√3-Bi上にSnTeを成長したところ、RMS~0.36nmという原子ステップに近い非常に平坦な膜が作製できた。3.トポロジカル結晶絶縁体Pb1-xSnxTe(111)薄膜における表面状態の観測。 Pb1-xSnxTe:SbにおいてARPESで入射光子エネルギーに依存しない2次元バンドを観測した。また、PbTeにおいては初めて大きな2次元Rashba分裂バンドを観測した。4.トポロジカル絶縁体と強磁性体MnTeのヘテロ接合の作製とその評価 トポロジカル絶縁体(BixSb1-x)2Te3と強磁性体のMnTeのヘテロ接合を作製した。磁化測定によって試料は室温以上の強磁性転移温度を持つことが分かり、低温では異常ホール効果も観測され、量子異常ホール効果に対して有望な系であることが分かった。5.Fe/SnTeに対するスピンポンピング法によるスピン注入 SnTeとFeのヘテロ構造に対してマイクロ波を照射し、Fe層で磁化が歳差運動し、スピン流が誘起されてSnTe層へと注入されたことが実証された。6.Fe/SnTeにおける偏極中性子反射法による強磁性proximity効果の検証 偏極中性子反射率法によってFeの強磁性のSnTeへのproximity効果について測定を行った。結果、SnTe表面から深さ3nm程度まで強磁性秩序が生じていることが分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (3件)
Physical Review B
巻: 96 ページ: 094424 1-5
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.96.094424
Nano Letters
巻: 17 ページ: 3493~3500
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Applied Physics Letters
巻: 110 ページ: 233106~233106
https://doi.org/10.1063/1.4984958
http://www-surface.phys.s.u-tokyo.ac.jp/top_j.html
https://researchmap.jp/rakiyama/
https://www.researchgate.net/profile/Ryota_Akiyama