研究領域 | トポロジーが紡ぐ物質科学のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
16H00986
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
野村 竜司 東京工業大学, 理学院, 助教 (00323783)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超流動ヘリウム3 / トポロジカル超流動 / マヨラナフェルミオン / アンドレーエフ束縛状態 / 横波音響インピーダンス / 超低温 / 量子液体 |
研究実績の概要 |
超流動ヘリウム3のB相の表面マヨラナ状態はゼロ磁場においてはゼロエネルギーにギャップが開いていないとして、我々の横波音響インピーダンスの測定結果が説明できていた。磁場下ではB相のトポロジカル相転移により、この表面状態にエネルギーギャップが生じると予言されており、ギャップ生成の観測に向けた開発と改良を行った。ギャップ生成による音響インピーダンスの変化を高感度で捉えるために、超音波素子のQ値の改善に取り組んだ。電極へのリード線の接続法と超音波素子のマウント方法を工夫することにより、これまで使用していた超音波素子のQ値より、一桁大きくすることに成功し、高感度測定への準備が整った。 磁場中での冷却の効率化を目指して新しいサンプルセルの製作を行った。磁場による発熱の効果を抑えるために、サンプルセルの固定位置を冷凍機の上部に移し、振動の影響を低減することを狙った。熱交換器は、過去のゼロ磁場測定で使用実績がある部分を用いる設計とした。また、このサンプルセルに合わせた新たな超伝導マグネットを導入した。 磁場によるトポロジカル相転移探索用の、これらのセットアップを終えて、全体を組み上げた。冷却を試みたが大きな熱流入があり、超低温での実験はまだ出来ていない。現在熱流入の原因を探っている。新たに導入した超伝導マグネット以外の部分は、過去に超低温度まで冷却した実績がある装置であるので、超伝導マグネットに付随する部分が原因であろうと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トポロジカル相転移に伴なうと考えられる微小な横波音響インピーダンスの変化を検出するための、超音波素子のQ値の改善には成功し、高感度測定の準備は整った。超音波素子へのリード線の半田付け法の改善と、超音波素子のマウント方法を工夫して、Q値を一桁大きくすることが出来たのは成果と言える。 引き続き磁場によるトポロジカル相転移の検出に特化した実験セットアップを完成させて冷却を試みたが、予期せぬ熱流入の影響で超低温での実験には到らなかった。新たに導入した超伝導マグネットが原因と考えられるが、まだ最終的な結論は得られていない。現在は、原因の究明と改良に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
熱流入源の特定が第一課題である。新たに導入した超伝導マグネット以外は、過去に超低温度に冷却した実績がある装置を踏まえて作成したものである。したがってこの超伝導マグネットを中心に原因を探り、その改良に取り組む。現時点では、このマグネットのリード線が最も怪しいと考えられ、熱流入の小さなリード線への取替えや、熱アンカーの改善などを検討している。 熱流入が低減できれば、本格的な超低温実験を再開し、トポロジカル相転移の探索を行う。
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