これまでに開発した系内発生HMDSアミドを用いるC-H修飾反応と系内発生トリフルオロメチルアニオン触媒によるC-Hケイ素化反応についての成果を報告する。これまでTMS3Nと種々のフッ化物イオン供与体から系内で発生したHMDS塩基を触媒とする芳香族C-Hの分子変換反応について検討を行ってきた。溶媒として用いるDMFを親電子剤として反応させることにより芳香環の直接C-Hホルミル化が進行することを見出した。この中で、セシウムカチオン以外にもトリメチルアンモニウムカチオンも有効であることが判明し、基質によっては後者の反応系の方が優れていることが明らかになった。また芳香環上のC-H以外にも芳香環上のメチル基のC-H修飾反応についても可能性を模索し、TMS3NとTMAFから系内発生するトリメチルアンモニウムHMDSを用いることにより以下のようなベンジル位のC-H修飾に成功した。このC-HのpKaの値は38とかなり酸性度が低いにも関わらず脱プロトン化が進行しておりさらに幅広い基質への適用が期待される。このベンジル位の新しいC-H修飾についても環上の官能基の高い共存性が確認されており、さらに基質適用範囲を明らかにするために検討を進めている。またRuppert試薬とフッ化物イオンを用いる芳香環上の新規C-Hケイ素化の触媒システムの開発を行った。この反応においては高い官能基選択性が認められ、特にニトロ基の隣接位のC-Hケイ素化は他の手法においては難易度の高い変換反応であると考えられる。この反応はフッ素原子の置換した隣接位において円滑に進行することが明らかとなり、中でも二つのフッ素原子で挟まれた部位においては種々の官能基を有する基質で良好な収率でケイ素化が進行した。また末端アルキン類のC-Hケイ素反応も円滑に進行することが判明した。
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