研究領域 | 高難度物質変換反応の開発を指向した精密制御反応場の創出 |
研究課題/領域番号 |
16H01027
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 結晶工学 / 多孔性構造 / 超分子 / ナノリアクター / 有機塩 |
研究実績の概要 |
本研究では、まず複数のスルホン酸分子とアミン分子により階層的に巨大な超分子複合体を作成する。さらに超分子複合体を自律的に組み上げることによって、デザイン可能なナノ空間を有する超分子多孔性物質を構築する。このような多孔性物質のナノ空間表面を化学修飾し、触媒金属を導入することで高度に制御された反応場を創出し、光、熱、力を印加することにより通常条件では難しい反応を進行させることのできる高度に制御された超分子ナノリアクターを創製することを目的とする。本年度の研究成果を以下に列挙する。 1.多様な形状・サイズを与える多孔質構造を得るために、様々な大きさ・形状の多環式芳香族にスルホン酸基を導入した化合物を合成した。 2.空孔表面を化学修飾するために配位結合性の官能基を導入した嵩高いアミンを合成し、酸性分子と組み合わせることで有機塩を作成した。これらの有機塩について、超分子複合体および多孔質構造の階層的な構築を行うため、種々の有機溶媒からの結晶化をおこなった。得られた多孔質結晶について、単結晶X線構造解析を用いてその超分子構造を解明した。 3.作製した多孔質有機塩のガス分子の取り込み能について検討を行った。得られた多孔質構造に応じて二酸化炭素や水素などへの特性、選択性を制御することができた。 4.次に触媒機能性多孔質構造を作成した。銅やパラジウム錯体をクロロホルムや塩化メチレン、アセトンなどに溶解し、多孔質結晶を浸漬させることで多孔質空孔内での配位子交換を行い、多孔質構造を触媒活性化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた化合物の合成に成功し、それぞれ多孔質構造の構築に成功した。さらにそれらに触媒となる金属を担持することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.前年度作成した触媒機能性多孔質有機塩に有機物質を取り込ませ、触媒活性について検討し、温度や触媒金属、反応基質などの反応条件を精査する。究極的にはCO2およびH2を初めとする反応物を取り込ませ、効率的なCO2固定化反応を試みる。 2.スルホン酸分子およびアミン分子にキラリティを導入し、不斉反応場を構築する。具体的には申請者が以前から用いているステロイド誘導体にスルホン酸を導入し、キラル分割研究で得た結果をもとに不斉反応にも挑戦する。 3.触媒反応の迅速化、高効率化を図るために、触媒機能性結晶をナノクリスタル化する。ナノクリスタルでは結晶表面に対する空孔の露出率が飛躍的に向上する。ナノクリスタルの作成には結晶の損傷を避けるために、ボトムアップ的手法をもちいる。
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