グリシドールは植物由来化成品の一つであるグリセリンから誘導可能であり、基幹化学品として将来有望な化合物である。特に、エポキシ樹脂の原料モノマーとなるグリシジル化合物を製造する際の、従来法で用いられるエピクロロヒドリンに代わる出発原料としての利用が期待される。しかし、水酸基と相互作用した末端エポキシは開環反応を生じやすく、エポキシを維持した状態での変換は極めて困難であった。我々は、グリシドールを開環することなく変換するための触媒として、第四級アルキルアンモニウム塩が有効であり、触媒的なエステル交換反応によりグリシジルエステルを合成できることを見出した。特に本年度は、計算化学的手法により本反応のメカニズム考察を行なったほか、触媒の最適化により一般的なエステル交換反応に応用することに成功した。
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