公募研究
本研究課題では微小光共振器の機械振動(フォノン)とフォトンのハイブリッド量子科学を推進し、ハイブリッド量子科学に不可欠な量子操作の基礎となるフォトン-フォノン量子系の実現を目指した研究を行っている。中心となる相互作用はパラメトリック過程に代表される非線形光学効果やフォトン測定技術である。本研究課題におけるフォノンは、シリカガラスからなるボトル型微小光共振器の機械振動である。光に対する非常に高い光閉じ込め効果による輻射圧によって、フォノンが生成される。レーザー冷却の技術を用いて、フォノンの基底状態まで冷却できれば、フォトン-フォノン量子系を実際に観測することが可能となる。本年度は室温・大気雰囲気下でこのボトル型微小光共振器の機械振動を光励起し、30Mhz~60Mhz程度のラディアルブリーシングモード(RBM)のフォノンを観測している。更に、これを利用したレーザー冷却の可能性を探索するためにポンププローブ実験を行い、サイドバンド分解冷却が可能であることがわかった。これによりLaser & Photonics Reviews誌(IF:7.49)に論文掲載となった。レーザー冷却性能の向上のためには、より高いフォノン振動数とフォノンのQ値を実現し、フォノンの長寿命化を図ることが重要である。本年度は、構造を見直すことで、より高いフォノン振動数を確認することができ、今後のレーザー冷却に期待が持てる結果を得ることができた。これに加えて、別のフォノンモードとしてより高い周波数をもつシリカ中の音響フォノンによるブリルアンレーザーを観測することに成功している。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画も順調に進展し、当初予定していなかった新たな成果も見られた。
計画の進捗状況は問題なく、このまま順調に進められると期待している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
Laser & Photonics Reviews
巻: 10 ページ: 603-611
DOI: 10.1002/lpor.201500243
Optics Express
巻: 24 ページ: 12082-12092
https://doi.org/10.1364/OE.24.012082
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巻: 41 ページ: 5793-5796
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Nature Communications
巻: 7 ページ: 13488
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Applied Physics Letters
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http://dx.doi.org/10.1063/1.4948922