昨年度に続き、5dパイロクロア酸化物Cd2Os2O7の低温物性の解明に取り組んだ。特に準粒子バンド構造を動的平均場近似に基づき解析することで、実験との比較を行った。YBaCuFeO5においてみられる非従来型のマルチフェロ相の微視的理論を構築した。一方、相互作用展開に基づく連続量子モンテカルロ法のC++コードを開発した。ALPSCoreライブラリの上で構築されたコードであり、多軌道クラスター型の量子不純物問題に対応している。 開発結果は、以下のURLにて、GPLv3ライセンスに基づいて配布されるオープンソースコードとして既に公開されている。 今後、計算アルゴリズムの詳細、使用法をまとめた論文を投稿予定である。 https://github.com/ALPSCore/CT-INT また、多軌道系に対する動的平均場近似法の計算コストなどの問題を解決するため、最新のデータ科学を計算物理学へ応用する試みを行った。特にスパースモデリングと呼ばれる手法を、量子モンテカルロデータの解析接続に応用する新しい手法を開発した。また、温度グリーン関数の虚時間依存性をコンパクトに記述する物理的な基底の開発した。以上の手法は、上記で述べたソフトウェアへ導入される予定である。
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