公募研究
当初計画通りに、(1)二次元ハニカム磁性体R_2/3_T_n_M_2n+m_ (R =希土類元素、T =遷移金属、M =Al or Ga)の単結晶合成を行い、R_2_Pt_6_Ga_15_およびR_2_T_3_Ga_9_(T =Rh, Pt )の3系統の希土類金属間化合物の合成に至った。中でも直方晶R_2_Rh_3_Ga_9_については、大型の単結晶育成に成功した。また、当初計画にはなかったが、結晶構造が反転中心を持たず、また擬カゴメ格子上に磁気モーメントが配列するRRhPbについて新物質の単結晶を合成した。得られた新物質については、結晶構造、比熱、磁化、電気抵抗率などの基礎物性測定を行った。ハニカム構造やカゴメ格子は、磁性元素のダイマーおよびトリマーを三角格子に配列したとみなすことができ、いずれも局所的に反転対称性を破った構造である。希土類元素の違いにより、磁化容易軸など、磁気的な性質はいろいろであるが、いずれの物質系においても多段の磁気秩序やメタ磁性転移が観測される特徴を持つことがわかった。(2)電流印加状態で磁化測定する電気磁気効果測定用プローブを作製した。キラル構造を持つYbNi_3_Al_9_について、温度2-5K、電流10mA、磁場1kOeまでの範囲で測定を行い、磁気秩序温度や磁場による磁気構造の転移について電流に依存した磁化の観測に至った。しかし、その変化は非常に小さく、本質的かどうかの判断が難しい。ジュール熱の影響など実験上の困難も明らかとなった。今後、端子材料や試料形状を工夫して、電流密度を高める必要がある。また、その場合には磁化による電気磁気効果の検出が困難となるため、交流伝導度測定など、測定方法を変更する必要がある。(3)新しいキラル物質の合成をめざし、ブリッジマン炉を整備した。平成29年度に物質合成を開始する。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度は、当初計画通りに、(1)新しいハニカム磁性体の合成、(2)電気磁気効果測定用プローブの作製とそれを用いた電気磁気効果測定に至ったことから、おおむね当初計画通りに研究が進んだと判断した。また、擬カゴメ格子磁性体の合成に至るなど、物質の幅は広がった。一方で、研究の大きな目標である新しい電流磁気効果の観測については、キラル物質を用いての測定まで到達し、当初計画通りに進んだが、想定よりもその効果は小さく、本質的な変化であるかどうかの判断に至らなかった。また、ジュール熱の問題をはじめ、電流を印加する際の実験上の困難がいろいろとあることがわかったが、改善には至らなかった。今後、局所的な反転中心がない物質に対して観測を進めるためには、電流密度を高めるなど、測定技術の開発が必要である。
平成29年度も当初計画通りにハニカム磁性体を用いた電気磁気効果測定を進める。物質合成については計画通りに進んでおり、その基本的な性質の解明などについては成果として取りまとめを行う。電気磁気効果測定については、これまでに明らかとなった実験上の困難を解決するために、端子材料および試料形状について改善を試みる。また、微小加工した試料を用いて電流密度を高くした測定を進める測定を並行して進める。微小試料では磁化測定は困難となるため、磁化に変えて、電気抵抗率、特に交流伝導度の測定から、新しい電気磁気効果の検出ができないか検討する。新しいキラル物質の探査については、引き続き当初計画に沿って推進する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 683 ページ: 012035-1-5
10.1088/1742-6596/683/1/012035
巻: 807 ページ: 042006-1-5
http://dx.doi.org/10.1088/1742-6596/807/4/042006